【第二章】 兄弟 ページ5
kwkm side
「聞いてくださいよ〜、さっきクラスでこういうことが＿＿＿＿」
「･･･へぇ」
俺が祥彰と出会ってから、一ヶ月が経つ。
その間、俺らはこうやって休み時間に一緒に弁当を食べたりしている。色々話もできるし、楽しいといえば楽しいのだが、正直祥彰の人間関係が心配になる。
俺がここにくる時には、既に祥彰は座って購買で買ってきたらしいレジ袋から、品を取り出して食べる準備をしている。
ということは、彼はチャイムと同時に教室を抜け出し、ここまで来ているということになる。俺だって、チャイムが鳴ってからなるべく早く教室を出ているつもりやから。
なので、この予想が当たっているのなら、祥彰はクラスメイトと話す時間や、友達を作る時間がないのではないか？と思ってしまうのだ。
でも、まぁ俺に「友達になろう」と言えるくらいのコミュ力なら、案外平気そうだが･･･。
「＿＿＿＿ちょっと、川上先輩？聞いてますか？」
「･･･えっ、あぁゴメン、ゴメン」
「全くもぉ、もう一回言いますか？」
俺の返事を聞く前に、祥彰は話を始める。
･･･そういえば俺、祥彰のこと全然知らんな。出会って一ヶ月だから、それはそうだと思うかもしれないけど、俺は祥彰のクラス、年齢、名前、性格･･･ぐらいしか知らんぞ？
家族とか、どういうことが好きなのか･･･とか全く知らない。それは、友人としてどうかと思うところがあったり、なかったり･･･。
･･･せっかくだし、この機会に聞いてみるか？俺が他人のことを知ろうと思うなんて、今までの人生で思ってもみなかったなぁ･･･。
「･･･なぁ、祥彰」
「？なんですか、川上先輩」
「こんなこと聞いて良いのかわからないけど･･･、祥彰って兄弟とかいるの？」
最初から、友人いるの？と聞かれても相手を困らせるだけだろう。俺だって、突然先輩にそんなこと言われたら、とてつもなく困るからな。多分。
「え？なんですか急に」
「･･･いや、俺そういや祥彰のこと、全然知らんなって思って」
あぁ、そういうこと、と納得した様子で祥彰は頷く。
「いますよ、兄が二人」
「へぇ、おるんや。どんな人なん？」
「どんな人と言われましても･･･、多分川上先輩も知ってると思いますよ」
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作者名：くらうでぃー | 作成日時：2021年6月29日 17時
