君に出会えて【QK】 (ページ27)

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一斉にみんなが声の主、駿貴先輩の方を向く。

「いやだってこうちゃん、物理わからないんだろ？それなら俺が教えられるし、拓司とか数学危ない･･･って言ってたから福良君とか河村君に教えて貰ったり出来るだろ」

確かに、今回俺も英語が少しわからなくて家で教えてくれる人もいないし塾にも通ってなかったから、困ってたんだよな･･･。
それに何より、勉強会って学生っぽい！

「でもそうなると誰の家でやるんです？」
「俺らん家で良いよな、拓司、祥彰」

話を振られた二人は「面白そうだし、良いんじゃね」「駿貴兄さんと拓司兄さんが良いなら･･･」と承諾した。

「有難う御座います、皆さん！」
「まぁ、Win-Winって事で。テストまであと何日かだし、できれば今日が良いんだけど･･･、どう？」
「俺は皆さんに教えて頂けるなら全然！」
「俺も大丈夫です」

拓司先輩、祥彰、俺、こうちゃんが参加を表明し、その後河村先輩と福良先輩も家に連絡をしてオーケーサインを貰ったらしい。

「じゃあ部活終わったら俺らん家に直行だな！」
「「アイアイサー！！」」

＿＿＿こうして、俺たちの勉強会は幕を開けたのだった。

♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎

伊沢家へ着くと、そこには普通の一軒家より少し大きめでモダン風の家があった。
俺が一人で暮らしてるマンションとは色々と大違いな事に悲しみを抱きつつ、皆さんに続いて家に入らせてもらう。

「「只今〜」」
「「お邪魔します」」

それぞれの人たちで入る時の挨拶をしても、中から何も返事は返って来なかった。どうやらお留守らしい。

「勉強するのは駿貴の部屋で、後で飲み物持って行くよ。祥彰、みんなを案内してあげて」

拓司先輩が入って早々すぐにそう言う。こう言う接客は慣れているのだろうか、それとも彼の性格からか、その行動に躊躇い等は感じられなかった。

「うん、わかった。それじゃあ皆さん此方へ」
「「失礼しまーす」」

祥彰のガイドで階段を登って行く。登って行った先には短めの廊下といくつかの部屋があった。その部屋全ての扉には、何の部屋なのか手作りの表札が掛けられている。
その中で一番手前の「駿貴」と書かれた扉を祥彰は開けた。