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ーーー次の日ーーー
「えーと・・・、ここで合ってる、よな?」

昨日急に決まった拓司先輩との大会出場。
拓司先輩曰くその大会は、本戦と予選があって、今日はその予選らしい。

「勝てたらきっと部費が上がる!」と拓司先輩は勝手に一人で盛り上がっているらしい。さっき、祥彰が某メッセージアプリで言ってた。

元々友人はいなかったし、共働きの親もお弁当を作ってくれたりしてるから、誰かとこうやって出掛けると言うのは初めてだった。
あ、修学旅行とか校外学習は入れてもいいのかな。・・・お出掛けではないか。

緊張していて眠れない&着ていく服がわからないで寝不足の目を無理矢理叩き起こし、拓司先輩との待ち合わせ場所に向かう。

「____あ、川上こっちこっち!」

俺が先輩を待たせてはいけないと、息を切らしながら走って向かっていると、遠くから拓司先輩が手を振って挨拶してくれる。

「お、おはようございます!すみません、待たせてしまって・・・」
「うん、おはよう!大丈夫だよ、俺もさっき来たところだから!
・・・それより、息大丈夫?整ってから行こうか」

息が整わない俺を拓司先輩は優しく気にかけてくれる。
本当だったら先輩に迷惑はかけてられないし、すぐに「大丈夫です」って言うんだけど今回はクイズ大会で声を結構使うので、その言葉に甘えることにした。

「ハァッ、ゼエッ・・・。あ、有難う御座いました。ご迷惑おかけして・・・」

ある程度息を落ち着かせて、迷惑をかけた事を謝る。すると、拓司先輩は突然俺の額に軽くデコピンをした。

「イタッ、なにして・・・」
「謝らないの。先輩には迷惑かけな?
人は、誰かに迷惑をかけてなんぼなんだからさ」
「・・・!はい、そうですね」

・・・本当に優しい人だな。
この人が先輩でよかった、と心から思える。あ、勿論福良先輩も河村先輩も駿貴先輩だって優しいよ。ただ、改めて人の優しさに触れたって言うか・・・。

「よし、それじゃあ川上。そろそろ行こうか」
「あっ、はい!」

互いにそんな会話を挟んで、俺たちは会場へと歩き出した。

(でもやっぱり二人きり・・・。憧れの先輩と行けるのは嬉しいけど、なんだか恥ずかしい気もあるんだよな。なんでなんやろ・・・?)

↓→←【第五章】 大会



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作者名:くらうでぃー | 作成日時:2021年6月29日 17時

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