君に出会えて【QK】 (ページ16)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:24,012 hit

↓ ページ16

「川上先輩と戦えるなんて･･･、凄く嬉しいです！是非とも、やらせて下さい！」
「そうそう、俺と戦えるなんて･･･ってえぇ？！ちょっ、祥彰何言ってんの？！
俺、未経験だし祥彰の方が絶対勝つってわかってる試合なんだよ？！」
「え？だって、川上先輩と戦える機会なんてそうそう無いですよ？
それに、僕が誘ったんですから川上先輩に楽しんでいって欲しいんです！
きっと、川上先輩なら未経験でも一点くらい取れますって！」

いける、いける！とリア充がしそうな軽い盛り上げ方をした後、祥彰はクイズの準備を生き生きと始める。
･･･俺に取らせてくれるのは、一点だけなんやな。
ｰｰｰｰｰｰ
「＿＿＿＿それじゃあ、これから川上対祥彰の7○3×を開始します」

福良先輩の声から、一気にこの場が緊張したようにピリピリする。
さっきまで「頑張れ、二人とも！」「祥彰さん、川上先輩集中集中！」と言った応援の声も嘘だったかのように、静まる。
この空気感･･･、間違いない。最初俺がここへ入った時と同じだ。

7○3×とは、七回正解すれば勝ち抜け、三回誤答すれば敗退となるものだ。
つまり、どちらかが七回正解するか、三回誤答するかすると、勝負はそこで終わり。ギリギリ粘れる所まで粘り、どんな時だって気は抜かない。それがクイズで大切な事だ･･･、と拓司先輩からは教えられた。

成る程･･･。確かにこの雰囲気だと、気を抜きたくても抜けないな。こんな緊張感の中で、クイズプレイヤーは戦っているのか･･･。
俺は、その事実とこの場の雰囲気に呑み込まれ、唾をゴクッと飲み込み、福良先輩の問読みの声を待つ。

「＿＿＿＿問題。沸騰の･･･(ピコン)」

そこまで言われた時に、ボタンの音が鳴る。最初は、後ろの誰かが間違えて押したのか、と思ったが、少しすると隣のボタンが赤く、点滅しているのが見えた。

･･･え、あの場所で押したのか？だって「沸騰の」しか聞こえなかったのに？
しかし、祥彰は真剣な顔で少し考え込んだ後、口をゆっくりと開いた。

「･･･オコゼ」
「＿＿＿＿正解！」
「･･･ッ」

思わず口から声が漏れる。
なんでそんなのわかるんだよ。オコゼ？
なんだそれ、聞いたことない。
福良先輩も、あまりの速さに正誤判定するのを一瞬忘れていた。周りの皆からも、「凄い･･･」と言う声が聞こえる。