今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:24,340 hit
小｜中｜大
屋上 ページ5
屋上に連れてこられて
5分
何を話せばいいか、
何を話すのか、
分からなくて沈黙が続く。
先に口を開いたのはサクラだった。
「あの事、忘れられないよね」
サクラが言っている "あの事" とは…
……………………………………………………………………………
あれは数年前。
私のお腹には小さな命が宿っていた。
毎日毎日楽しみにして、
体を気遣って
周りからも助けて貰って
順調に赤ちゃんは成長していった。
ある日、家のリビングで本を読んでいた時、
急にお腹が痛くなって
これは陣痛だとすぐに実感した。
すぐに携帯で夫に電話をかけたが
電話には出ない。
どうしよう。
大きなお腹を抱えながら
すぐ近くのペルソナまで
急いだ。
たまたまペルソナの通路を歩いてた
サクラを見つけて
分娩室へと向かい、
ものの数分で元気な女の子が
生まれた。
とっても嬉しかった。
産科医としてたくさんの
赤ちゃんを見てきたが
こんなに嬉しかったお産はない。
退院後、
家に帰り
新しい生活が始まった。
娘は友羽(ゆう)と名付けた。
夫は仕事を最小限にしてくれるようになり
全てが上手くいっていた。
それなのに…………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：田舎平和乃 | 作成日時：2019年1月16日 17時
