負けず嫌いと同等に*伊之助 ページ4
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正直なところ、Aちゃんの恋は報われないと思う。否、俺は勿論良き友人でもあるAちゃんの恋を応援している一人なのだが、彼女の惚れた相手が相手なのだ。嘴平伊之助。猪。それが彼女の惚れた相手だった。
然し乍ら俺はあの猪の何処が良いのかなんてわかるはずもなく、彼女が熱く語ってきた伊之助の良い所などはあまり良くわからなかった。
だから俺は諦めろとは言わない。やめておけ、(なんなら俺にしない?)と、そう伝えたのだが、見事にキレられビンタをされ失敗に終わってしまった。
そんな彼女がとある昼下がり、あの猪に勝負という名の賭けに出たのだ。
「ねえ、伊之助。私と勝負しない?」
「あァ?勝負??」
「そ。別に私に負けるのが怖いならやらなくたっていいけど。」
「んだと!お前みたいな弱味噌に負けるわねェ!!」
負けるかよ!!と意気込みまんまと挑発に乗った伊之助は何時も通りのようで俺は少し安心した。一方のAちゃんは計画通り、とでも言うように口角をニッとあげる。かわいい。
「愛してるゲームで勝負しましょう」
「?…??なんだそれ弱そうだな」
「いやこれゲームだから弱いも何もないから…」
けれども、伊之助は何とも鈍すぎる。今時流行りの愛してるゲームすらしないのだから、本当にAちゃんは苦労人だと思う。ああ、どうして俺じゃなくて伊之助を好きになったんだろう。毎日毎日それが不思議でならない。
「はァ…まあ説明するね、」
Aちゃんは呆れながら伊之助にルールを説明する。愛してるゲームとは、互いに「愛してる」という単語を言い合って照れた方が負けという恋人がやるような遊びだ。「成る程な、」と頷く伊之助に俺が言いたいことは今すぐ其処を代わってもらいたい。
そして始まる愛してるゲーム。俺は一体何を見せつけられているのだろう、とは思ったが流石に空気を読む。
「世界で一番好きだよ伊之助」
「…そうか、」
「ねェ、伊之助は?」
こてんと首を傾げるAちゃんは、少しあざといが可愛い。けれども一方の猪の方はというと、無反応である。
惚れたか、惚れたのか。全俺がそう思った時、伊之助は急に立ち上がったと思えば走りだして何処かへ行ってしまった。勝負放棄である。
(続きます)
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死輝(しき) - 冨岡義勇の冨を富になっています! (2019年9月16日 13時) (レス) id: 99988b73d5 (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美咲さん» 錆兎で両片思い把握致しました…!!!書かせていただきたきますね( ´ ▽ ` ) (2019年8月22日 21時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美桜さん» あ、ごめんなさい!!お名前が似ていたものでして…。 お館様の裏、頑張って書かせていただきます…!ご指摘共々有難う御座いました(*´`*) (2019年8月22日 21時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 羅刹さん» 私は美桜ですよ。美咲さんではありません。レス間違えています。 (2019年8月22日 21時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美咲さん» リクエスト有難う御座います!!書かせていただきたいのですが、お館様の性格がまだ曖昧だったりするのですがご了承くださいませ。(´ `*) (2019年8月22日 19時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rakutenサブれ | 作成日時:2019年8月21日 23時