守らなくてはならないもの【安室透/降谷零】 (ページ9)

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一方ユリは

[理事官、今終わったところです]

[そうか、ご苦労だった。君の出番はあったか？]

[ちょっとだけ動かせてもらいましたけど、あとは公安に任せてました]

[そういう君も公安だがな]

[そうですね…一度ホテルに書類を取りに行ってからそちらに向かっても？]

[あぁ。だが車がないのだろう。そこらへんのやつに乗せてもらえ]

[いいえ。タクシーを呼びます]

[そうか。じゃあ着いたらもう一度電話してから理事長室に来い。今からちょっと会議でな]

[わかりました。では失礼します]

そうして電話を切った。

後ろから名前を呼ばれた。

「ユリ」

『零…』

そのまま私の方へ歩いてきて思いっきり抱きしめられた。

相変わらず力が強すぎるゴリラ

それでも久しぶりのその温もりが嬉しくて負けじと強く抱きしめ返す。

でもここはまだ体育館の中だ

『零、まずは外に出よう？』

「ん。」

そう短く返事すると零は私の手を引いて歩き出す。

綺麗な手だが男らしく大きくてゴツゴツしている。

白いスポーツカーのところまで連れてこられた

助手席のドアを開け、

「乗れ」

と命令してくる零

だが私はタクシーを呼ぼうとしていたのだ

『私タクシー呼ぶから。ホテルに取りに行くものがあるの。そのあと警察庁に行く』

「俺が連れてくから」

『でも零忙しいんじゃ「大丈夫だから早く乗れ」、ちょっ』

そう言い頭を鷲掴みされ車に押し込まれた。
いや雑かよ

ドアを閉め反対側にまわり、運転席に乗る零。

大人しくシートベルトをしようとすれば

「ユリ」

と名前をよばれ

顔をあげる前に顎を持ち上げられた

そして、

『…⁉、、ん、ﾌｯ..ﾝﾝ』

いきなりキスをしてくると思ったら深い方だった。

四年分を埋めるかのように…

強く、優しく…私の存在を確かめるかのように

かれこれ5分はたったんじゃないか。そろそろほんとに苦しくなってきて無駄に鍛え上げられた胸板を押す。

そして苦しそうな私に気づいたのか、やっと唇を離してくれた。

そのまま額を合わせて見つめ合う。