ホッとひと息つきませんか？（短編集） (ページ10)

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「ただいま～」

『おかえり！意外に早かったじゃん』

玄関で出迎えてくれる樹に

「ねぇ、樹。私の鞄に香水付けた？」

と聞くと

『ん？付けたけど？』

お、俺の匂いする～

なんて呑気な答え

こっちはそのせいで餌食になったっていうのに

「なんで？
別に樹の香水の匂いが嫌いってわけじゃないけどさ」

『ならいいじゃん？
まぁ一種のマーキングってやつ？』

「え？」

『本当はすぐ分かるような男性物のだったら尚良いんだけどさ。それにAってあんまりアクセサリー付けるの好きじゃないから。男除けにと思って』

『鞄だけじゃなくて
全部俺の匂いになればもっと良いんだけどなぁ』

なんて近寄ってくる樹に

いや、でも

と籠もっている間に引き寄せられて

抱きしめたらほとんど俺の匂いになるね

と満足そう

『でもなぁ、A匂いも好きだからなぁ
難しいところだよなぁ』

「じゃ、じゃあ。
樹が私の使ったらいいんじゃない？」

『え？それって俺にマーキングしたいって事？笑』

「だ、だめ？私だって不安なんだもん。樹モテるし。」

『大歓迎！！』

END