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風呂からあがったAさんの前に、
出来立てほかほかのオムライスを置いた。
「・・おいひぃ」
「でしょ。洋平特製オムライスだからね。笑」
Aさんは珍しく口いっぱいに料理を頬張って、
美味しいと言ってくれた。
「はー、お腹いっぱい。もう食べられない。
洋平くん、作る量が多いんだもん」
「食べ盛りだからね、俺は」
「えー?もうそろそろ落ち着いていい年頃じゃない?」
「は?まだ30行ってないし、まだまだ全然いけますー。笑
て言うかそんなこといいから。ほら、もう寝なよ」
「え、やだ。今 寝たら太る」
「なに言ってんの、疲れてんだから早く寝て。
栄養も疲労回復に使われるから大丈夫だよ」
「 “なに言ってるの” は、こっちのセリフ!
洋平くんくらい若ければいいけど、年齢が上がれば上がるほど体についた脂肪って落ちにくくなるんだよ。
それはもうなんの恨みかってくらい着々と蓄積されて、」
「はいはい、分かったから笑」
わなわなと手を震わせて、
恐ろしさを表現しようとするAさんを
力尽くで、ぼすっとベッドに横にした。
「やーだー、寝たくなーいー」
「はいはい。我が儘言わないでください、お嬢さま」
横になったまま、
ぶーぶーと文句を並べていたAさん。
だけど、疲れとお腹いっぱいなのが手伝ったのか
少ししたら眠気が襲って来たらしく、
嘘のように すうっと眠りに落ちていった。
「やっぱ疲れてるんじゃん」
布団を肩まで掛け直すと、
Aさんの唇がむにゃむにゃと動いた。
「んんっ、、朝、からおむらいす、、キツイ、、」
「ははっ、どんな夢見てんの。今日の続きかな?笑」
そんなAさんの頭を撫でる。
だいぶ疲れてたみたいだし、
あんまり話も出来なくて残念だったな。
でも、上を目指して頑張ってる、
冴木部長の期待に応えようと頑張ってる、
そういうところも好きなんだよね。
ひたむきに仕事してるAさんのことが
大好きだから。
「おやすみ。俺より年上のかわいいヒト」
まだむにゃむにゃと言ってる
彼女のおでこにそっと口唇で触れて
「さて、じゃあ俺は練習に行きますか」
彼女が明日起きた時、夢の続きが出来るようにと
残ったオムライスにラップを掛けて、
ギターを抱えると俺は彼女の部屋を出た。
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叢雲(プロフ) - 吉野さん» 楽しみにしていただいてありがとうございます。お疲れな彼女を甘やかしてあげる洋平さんでしたー。雰囲気が最高と言っていただけて嬉しいです。続きもお楽しみいただければと思います(^-^) (2022年2月24日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
吉野 - 更新楽しみに待っていましたε=ε=(ノ≧∇≦)ノ洋平さん と主人公さんの雰囲気がとっても最高です(≧∇≦)b続きが益々楽しみになりました( ´艸`)身体に気をつけて毎日を楽しくお過ごし下さいませ(^_^)ゞ (2022年2月22日 22時) (レス) @page48 id: 39e224bf48 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - あゆさん» こちらこそお読みいただいてありがとうございます。ドキドキしていただけるかは分かりませんが、続きもお楽しみいただければ幸いです! (2022年2月8日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - 瑠々花さん» ご覧いただいてありがとうございます。なんだか不穏な空気が流れてましたね。続きもお楽しみいただければと思います(^-^) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - こんばんは。更新ありがとうございます。転の展開ですね〜!若さとか勢いとか、どう転がっていくのか…。ドキドキしながら、楽しみに待たせていただきます。 (2022年2月8日 0時) (レス) id: b6bdc3d8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:叢雲 | 作成日時:2021年9月22日 23時