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おお、珍しい。
致してる時だけはすごく素直で甘えてくるAさんだけど、
元々の性格なのか、年上のプライドなのか、
普段そういうことは滅多になくて。
だからこれは多分、彼女の気力も体力も
相当消耗してる証拠なんだと思う。
「取り敢えず部屋入ろっか?
このままってわけにもいかないし」
「・・うん」
いつまでも玄関先にいるわけにはいかないので
そう言って誘導する。
「なんか飲む?」
落ちた売り上げを挽回しようと、
毎日頑張ってお疲れのAさんが
少しでもほっとできるようにと思って聞いてみた。
「甘いのがいい・・・」
「じゃあミルクたっぷりのカフェオレにしよう」
抱き着かれたまま、
Aさんの頭をナデナデしながらカフェオレを作って
ソファまで連れて行った。
それからも彼女は俺の傍を離れなくて、
ソファに座って半分くらいカフェオレを飲んだあと、
俺の腰にしがみついたまま寝てしまった。
・・・ヤバイ。
これ、動けない。
彼女は外の強風でボサボサにされた髪もそのままに、
それを気にする様子もなくすやすやと眠っている。
なんか、あれに似てる。
汚れたまま拾われて、あったかい部屋とご飯に
警戒心を失くして寝落ちした子猫。
かわいいなって思って、Aさんを起こさないように
ポケットからごそごそとスマホを取り出すと
カメラを起動させた。
思いっきり腕を伸ばして、
俺と俺にしがみ付いて眠るAさんの
ツーショット写真を撮る。
「ん・・、」
「あ、起こした?」
カメラのシャッター音が
うるさかったかもしれない。
「んぅ、・・あ、ごめん、付いちゃった・・・」
俺の履いてた黒スキニーには
彼女のファンデーションの色が移っていた。
「いいよ、こんなの。洗えば落ちるし。
それより取り敢えずさ、」
彼女の肩を持って、しっかりと起き上がらせて。
キチンとソファに座らせて。
「・・俺、トイレ!」
起こせない。動かせない。
で、ずっと我慢してたから!
ソファから立ち上がると
ダッシュでトイレに駆け込んだ。
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叢雲(プロフ) - 吉野さん» 楽しみにしていただいてありがとうございます。お疲れな彼女を甘やかしてあげる洋平さんでしたー。雰囲気が最高と言っていただけて嬉しいです。続きもお楽しみいただければと思います(^-^) (2022年2月24日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
吉野 - 更新楽しみに待っていましたε=ε=(ノ≧∇≦)ノ洋平さん と主人公さんの雰囲気がとっても最高です(≧∇≦)b続きが益々楽しみになりました( ´艸`)身体に気をつけて毎日を楽しくお過ごし下さいませ(^_^)ゞ (2022年2月22日 22時) (レス) @page48 id: 39e224bf48 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - あゆさん» こちらこそお読みいただいてありがとうございます。ドキドキしていただけるかは分かりませんが、続きもお楽しみいただければ幸いです! (2022年2月8日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
叢雲(プロフ) - 瑠々花さん» ご覧いただいてありがとうございます。なんだか不穏な空気が流れてましたね。続きもお楽しみいただければと思います(^-^) (2022年2月8日 0時) (レス) id: 7fa6a761c1 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - こんばんは。更新ありがとうございます。転の展開ですね〜!若さとか勢いとか、どう転がっていくのか…。ドキドキしながら、楽しみに待たせていただきます。 (2022年2月8日 0時) (レス) id: b6bdc3d8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:叢雲 | 作成日時:2021年9月22日 23時