tokyo2pm36floor：2nd

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「いや無理でしょ。俺、しっかり聞いちゃったし」

「なにが？！なにを？！
川上くんの聞き間違いじゃないっ！？」

「間違いじゃないでしょ？
Aさんがそれだけ焦ってる時点で
絶対間違いじゃないよね？」

「っ、ちがっ、」

「なにが違うの？
もうカノジョみたいなもんなんだよね？
いいの？カノジョってことでいいの？」

「違うっ、カノ、ジョ、じゃ、ないっ！」




捕まれた手を放してもらおうと必死で暴れさせるのに
がっちり握られた川上くんの手は離れることがなくて




「あんなこと言っといてカノジョじゃないの？
もうカノジョ気分だったってことでしょ？
じゃあ、いつまで待たせるつもりなの？
俺の反応見て楽しんでた？それとも焦らしプレイ？」

「なにバカなこと、言って、、っ、、」

「あー！もー、無理！
早くAさんのことカノジョにしたい！」




ガバッと抱き締められてしまった。




見た感じ細いと思っていた彼の体は
想像よりもがっしりしていて、


弟のような接し方から一転して、
やっぱり男の人なんだって意識させられてしまう。




閉じ込められた腕の中。
どちらのものか分からないドクドクとした心音。


吐き出した川上くんの呼吸が耳に掛かって、
動転してる気持ちがさらにパニックに陥りそう。




あー！もうこれどうしたらいいの！




そこから降ってきたのは
この前、ほんの少しだけ頬に触れたのとは違う、
口唇を重ねるキスだった。




「・・・Aさん避けてよ。
俺、また勘違いしちゃうじゃん。
止めらんなくなるよ？」




そう言った川上くんが
初めて私の前で切なそうに顔を歪ませた。




いつも大きな笑い声で
いつもニカッとした笑顔を見せるだけで、
どうしても忘れがちだった。




歯が浮きそうな台詞や
赤面してしまうような言葉にはするクセに
表情にはそんな素振りさえ見せなかったから


その気持ちが、本気なのか冗談なのか
私には捉えきれなくて・・・。




だから、そんな顔を見せられたら
もう逃げられなくなる。




私に付き合おうよって言い出したその時から、
その想いを表に出さないように
表情に見せないように、
あなたはずっと我慢してきたの？




「、、勘、違い、なんかじゃ、ないからっ、、」




突然の状況になんとか言葉を絞り出してそう言ったら、
抱き締められていた腕の力がぎゅうっと強くなった。





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