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同じことを繰り返して言った老女に、それまで黙って聞いていた少女は小さくため息をつくと初めて言葉を発した。
「お祖母様の説明じゃだめよ。この方にちゃんと『予告状』が届いたところから説明しないと」
「あらっ！ そうだったわね！」
それから、少女が説明役へと代わった。
年の割にはかなりしっかりとした子だった。
その一方で、無言を貫いている彼女の両親は不気味だった。
そして、少女曰く。
二日前にこの屋敷に一通の手紙が届いたそうだ。
大人の手のひらに収まる大きさの長方形の手紙が一通。
そこにはこう書かれていたそうだ。
水無瀬家の皆さまへ
次の満月の夜。
この中で一番愛されている者を迎えに行きましょう。
それまでにどうかお別れを済ませておいてください。
死神より
「それを真に受けたお祖母様があなたに電話をしたというわけです」
「なるほどねぇ……。ただのイタズラだと考えているのは？」
「お祖母様以外です」
茉莉の質問に淡々と少女は答える。
そして老女は反対に必死に声を上げた。
「月乃のためを思ってのことよ！」
「『満月の夜』と書かれているからって、イコール『私』なんて安直すぎるわ」
「いいえ！ そんなんじゃないわよ！ この中じゃ月乃が一番愛されているからよ！」
「それはお祖母様ではなくて？」
「私なわけないじゃない！ 息子夫婦に命を狙われているのに！」
「そんなっ、お義母様！ 私たちのことをまだそんな風に見ていたんですか！？」
「今まで一緒にいたじゃないか！」
腰を浮かせて、初めて少女の両親たちが発言した。
内容は自分たちの擁護だったが。
「そんな！ も、こんな！ も、全て事実じゃないか！ 月乃の両親を殺したのはおまえたちだろう！」
「アレは事故だったと――」
「もうやめて！ 叔父様たちの言い訳はもう聞きたくない！ 今はそのことは関係ないでしょ！」
少女――月乃――はそう声を荒らげると、両耳を塞いで蹲った。
しかし、大人たちはそれでも言い争いをやめることはなかった。
お互いがお互いを、汚い言葉で糾弾し続けた。
わざわざ呼んだ茉莉を放ったらかして、目の前で修羅場が繰り広げられていた。
茉莉はもう、面倒だったので考えることを放棄した。
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夏川夏恋 - 探偵・あいみさん» はじめまして！コメントありがとうございます！面白いとの感想をいただけて、とっても嬉しいです！続きを望んでいただけたのはとてもありがたいのですが、普段書かないジャンル&文体で結構苦労したのでシリーズ化する予定はありません…すみません… (2020年8月27日 22時) (
レス) id: 65feaaeb42 (このIDを非表示/違反報告)
探偵・あいみ(プロフ) - ふわぁ。めっちゃ面白い…。続き早く…！ (2020年8月27日 22時) (レス) id: f29b167efb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏川夏恋 | 作成日時：2020年8月25日 20時
