名前/1【加州清光】 ページ2
あの一件から約二ヶ月。庭に植えられている桜たちは蕾を膨らませている。あの日よりも温かく優しい陽射しが俺を包んでいた。
縁側に座り、緑髪のアイツに入れてもらった茶を啜りながら外で走り回る短刀達を眺め、時折手を振ってやる。大きな欠伸を一つして、ぐっと身体を伸ばした。
突然後ろの扉が開かれ、その音に肩を揺らすと「あれ、主何してんの？」と聞き覚えの声が耳に入る。
『…あ？んだよ赤目か』
「なんだよって…んーまあいいや。そんで、主は何してたの？」
『見てわかんだろ、茶ァ飲んでんの』
「それだけ？」と問う赤目に「それだけ」と同じ言葉を返せば興味なさげに「ふぅん」と一言。聞いておいてコイツ…と少しイラッとしたが熱いそれを飲めば幾分か気分は良くなった。お茶ってすげえや。いや、入れたアイツが凄いのか？まあ、どっちでもいいや。
最後の一口を飲み干しておっさんみたいな声を出す。それを見て赤目はケラケラと笑った。
「なに、そんなに美味しかったの？」
『まあ。お茶なんてあんま飲む機会なかったからかもだけどな』
「お茶ってことは鶯丸あたりに貰ったんでしょ」
『おお、正解。綾鷹に貰った』
「…アヤタカ？」
切れ長の目を丸くして赤目は復唱する。俺は綾鷹という市販のお茶があることを説明した。数あるお茶の中で選ばれたのは綾鷹なのだと。赤目は考え込むように眉間に皺を寄せ、顎に手を当てる。暫くすると声を掛けてきた。
「主さぁ、俺達のこと変な呼び方するよね」
『そんなに変？』
「かなり。演練出会う別の俺達もそんな呼び方聞いたことないって言ってたし。…なんで？」
『なんでって言われてもなァ。覚えやすいし言われたらわかりやすいだろ』
「わかりやすいねぇ…。薬研とかは“白衣”ってそのまんまだけど、燭台切と大倶利伽羅の呼び方が“伊達”と“政宗”はどうかと思うよ？」
『るっせーな、俺が分かればいいんだよ！お！れ！が！』
「呼ばれてる方はわかんないっての。大倶利伽羅のあんな表情初めて見たし」
あんなに困惑してる大倶利伽羅見たの、多分主だけだよ。
その時の光景を思い出して赤目は笑いだす。まあ確かに、いつもの無表情が明らかに崩れてたもんな。アレは俺も笑った。それを見て笑いつつ自分も困惑してる伊達も面白かったけど。
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リッツ*(プロフ) - 令恩さん» コメントありがとうございます！お待たせしてしまい申し訳ありません（汗）嬉しいお言葉ありがとうございます...！ (2018年11月4日 19時) (
レス) id: 5d1926a658 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - 待ってましたー！え？大将可愛すぎ (2018年11月4日 1時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
リッツ*(プロフ) - 響也さん» コメントありがとうございます！大変長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした…。久しぶりだったので不安でいっぱいでしたが、そう言っていただけてとても嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年3月21日 18時) (レス) id: 5d1926a658 (このIDを非表示/違反報告)
響也 - 続編おめでとうございます！待ってました(*ﾉД`*)･ﾟ･。主人公くんかっこよすぎますね...！ (2018年3月21日 15時) (レス) id: 90be5980ad (このIDを非表示/違反報告)
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