§僕らはいつも§〜＊banbi＊ninoai＊〜

困惑、信頼、違和感。2 S ページ23

翔side




家に着いても何もすることなくとりあえず的当なものをつまんだ。

どうしてもがっつりご飯を食べる気になれなかったんだ。

それと同様に、家につけば毎晩晩酌を始めるのだが、飲む気にもなれなかった。

…というか、飲んじゃいけない気がしたんだ。

胸に突っかかる何かがそうさせてるのかもしれない。

部屋をある程度片付けて、今度の仕事の資料整理を始めた。

ふと時計を見ると家に帰ってから2時間ほど経っていた。

窓の外もすっかり暗闇と化していて時の流れを物語っていた。

そのあとすぐインターホンのチャイムがなり来客の存在を知らせる。

モニターを確認すればそこには予想していた顔が。

予定時間よりかは少しばかりはやいが。

部屋まで通せば、今度は家の前のインターホンが鳴る。

扉を開ければ、駐車場で別れたより幾分かご機嫌な彼。

リビングに通して彼に水を出してから、飲み会の話を聞く。

彼は楽しそうに友達の武勇伝や思わぬ旧友との再会を語る。

そんな彼の話に相槌を打ちながら一緒に笑ってやる。

こんな何気ない時間が好きだ。

彼との関係と実態に悩まなくてすむから。

話もひと段落つき、彼はコップに残った水を一気に飲み干す。

それが合図だったかのように、彼の瞳には雄の光が灯る。

勝手知ったるなんとやらで寝室に連れて来られ、あれよあれよ進んでいく行為。

キスから始まり、彼の唇は首、鎖骨、胸、脇腹、臍、と下がって行く。

そんな光景をぼーっと眺めている自分。改めて思う。

何にも感じないんだ、この行為に。

彼の片手は器用に僕のパーカーのチャックを開き、シャツの中まで侵入してくる。

そろそろと腹のあたりを這う彼の指に擽ったくて身をよじる。

あぁ、またこの感覚。胸に突っかかる何か。

行為が進んで行くにつれ突っかかるものがはっきりしてくる。

モヤモヤが晴れていく。

なんなんだこれは…。

さわさわと動き回る彼の指なんかお構いなしに自分の感覚を探っていく。

ただの拒絶反応じゃない。

もっと、ちゃんとした理由がそこにはあって、触られたくない。

そう、触られたくない。

彼に。

触ってもらいたい。

誰に？

あの人に。

頭を撫でてたあの手に。

そう、松潤に。

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