§僕らはいつも§〜＊banbi＊ninoai＊〜

憎の誘いJ ページ16

潤side

ニノの様子がおかしい。


急に付き合いませんか?って…。


俺たちの感情はそんな簡単なものじゃないはずだ。


お互いの想いの相手が付き合い出したからって、傷の舐め合いだって関係持つことは


相手を、自分の想いを裏切ることになるんじゃないのか。



「お前、少し疲れてんじゃないのか？そんな簡単に諦められるような想いじゃないだろ？」




「ええ、だから辛いんです。それは潤君も同じでしょ？


潤君の恋だって辛いでしょ?だからお互い慰めあ…」




ニノの言い分に、言葉が終わる前に言ってやった。




「慰め合いじゃ何も生まれない。むしろもっと苦しくなるだけだよ。


素直になった方がいい。本当は気づいてんだろ？」




「…僕は潤君ほど強くありません。素直に思い続けて、


その先にあるものも知っているつもりです」



俯きながら呟くように放たれたその言葉は、ニノの限界を物語っていて


これ以上いうのはあまりに酷なので静かに手を引き


時間も時間だしお互い無言で仕事をこなした。









スタジオから楽屋への移動中、いつもの道が清掃中だったため非常階段の方へ遠回りした。


これがいけなかったんだ。



「んぅっ、は…」


そんな声と共に微かに聞こえる水音。


隣にはニノがいる。


ニノはその音に身を硬くしていた。


早く楽屋に戻って、帰路につきたい。


そんな思いも虚しく、俺たちはその音を発する行為目撃した。


少し背伸びして高さを合わせる翔君。


すぐに離れようとしていた翔君の後頭部を抑え、離れて行く距離を


勢いよく戻し、なお深いものにする相,葉君。



ニノは俯いたまま俺の手を引いて楽屋へと足を進めた。


俺の手を引いていたニノの手は震えていた。

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