§僕らはいつも§〜＊banbi＊ninoai＊〜

欠落した感情…S ページ11

翔side

雅紀との恋人関係が続いて、一つ気づいたことがある。

それは、自分に“人を愛する感情”というものがかけているということ…。



雅紀のことは好きだ。



でも、それ以上でもそれ以下でもない。


簡単に言ってしまえば、キスもそれ以上のことも身体が受けつけないということだ。



だから、雅紀には悪いが恋人らしいことなんて一つもしてあげらてれない。



雅紀は、一日でも早くニノのことを忘れたいらしく


色々なことをした。



でも、どれも身体が拒否反応を示し
突っぱねてしまう…。


その後、いつも雅紀は悪くないのに「…ごめん」と申し訳ないなさそうに眉尻を下げて言う。



そんな雅紀を見るたび胸が締め付けられる。



罪悪感でいっぱいになる。




雅紀を救うために…


少しでも力になれるなら…




と付き合うことを決めたのに、これじゃあもっと追い詰めている…。


俺が雅紀に余計なものを背負わせてしまっている。


俺の感情は、雅紀との関係についていけない。



俺は生涯、人を愛すことができるのだろうか…。



人を苦しめる事しかできないじゃないか。



雅紀の追い詰められた姿を見ても、一緒に泣いてあげることさえできない。






好きの…


その先の感情を、俺は知らない…………


ふと、顔を上げ壁掛け時計を見る。


あぁ、もうとっくに真夜中じゃないか。


あと1時間もすれば丑三つ時だ。




時計を見るため顔を上げたとき初めて気づいた…。


この家は真っ暗だ。


一人の部屋はいつ見ても、冷たい…


乾ききった心を現しているようで、居心地が悪い。



ウルオイを求めている…。


この部屋も、俺自身も…。





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水道に残っていた水滴が、ポタッと鈍い音をたててシンクに落ちた。

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