【ルパパト】ちらしの裏(4)

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「…そうだよ、僕は人間じゃない」
「っ」

逃げたい。逃げたらダメだ。ノエルさんの話を聞かなきゃ。込み上げてきた涙をぐっと奥歯を噛み締めて堪える。

「……ノエルさん、ぜんぶ、話してください。人間じゃなかったらなんなんですか。ギャングラーですか」
「違う！ギャングラーじゃない！」

ギャングラーでないことを否定したノエルさんの言葉に、やっと息が吐けた。嘘、じゃない。嘘じゃない。

「…僕らの祖先は元々、ギャングラーと同じ異世界に居たんだ。ある日、ギャングラーが襲ってきて、人間の世界に逃げてきた。だから、人間のように見えても、別の種族だよ…」

フッと脚の力が抜けた。膝から崩れ落ちる。ノエルさんが駆け寄ってくる。私に右手を伸ばして、中途半端に手が止まる。触れようとした手が止まる。引こうとしたその手を掴む。びくりとノエルさんが震えた。

「ギャングラーのスパイっていうのも違うんですね…？」
「違うよ」
「兄さん達や魁利くん達を陥れようとしていたり、してないですね」
「僕も彼らと願いは一緒だよ。…僕を、信じて」

ツンと鼻の奥が痛む。ぐにゃと視界が歪む。頬に涙が伝わるのがわかる。ああ。自分の体から力が抜けるのが分かる。

「良、かった…」
「え」
「べ、つにノエルさんが人間とか、そうじゃないとか、どっちでもいいです。ギャングラーじゃなくて、兄さん達を騙していないなら」

ぼろぼろと涙があふれてくる。よかった。よかった。ノエルさんは敵じゃない。先輩とは違う。あの人とは違う。

「でも、僕は人間じゃない…みんなを騙して…」
「騙してたわけじゃない…。ちゃんと話せば許してくれることですよ」

ノエルさんの瞳が歪む。ノエルさんの左手も掴む。

「私はノエルさんの言葉を信じます。ノエルさんを信じます」

ノエルさんが息を飲む。苦しそうな顔。反して私は笑顔を作る。涙はまだ止まっていないけど。

「ノエルさん、笑ってください。私、ノエルさんの笑顔好きだなぁ」
「…僕も、Aちゃんの笑顔好きだよ」
「笑顔だけですか？」
「全部好きだよ」

フッとノエルさんの顔が緩む。目が細くなって、口角が上がって…、好きだなぁ。

「私も、ノエルさんの、こと、大好き。ぜんぶ、好き」

ノエルさんの首に腕を回した。瞳を見つめて、ゆっくりと瞼を閉じた。

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