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自分のグラスのストローに口をつける。炭酸の刺激と、甘い匂い。ノートに視線を落とす。ノエルさんともお喋りしたいけど、今はこっち。
「それ、僕わかるよ。教えようか」
「え、ほんとですか」
ノエルさんが立ち上がり、ソファつめてとジェスチャーされる。並ぶようにして座る。
「これはね、順を追っていくとわかるんだけど、ここと、ここがあるから…」
「うん。でも、この文章だと……あ、これはいらない情報か」
「そうそう」
あー、分かった分かった。いらない情報に惑わされていた。悩んでいたところが分かってスッキリだ。
「ありがとうございます、ノエルさ…」
ノエルさんの方を見て気づいた。ち、近…。え、待っていい匂いするんだけど何これ、え、匂いまで良いとか完璧じゃない?さすがアムールの国から来た男(って咲也さんが言ってた)。ノエルさんはノエルさんで固まっている。
「お待たせしました〜」
店員の気だるげな声にハッと気付く。ノエルさんが頼んだものが来たらしい。ごゆっくり〜という店員の声は冷ややかだ。気持ちはわかるよ。目の前で見つめ合う男女がいたら、私もうわ、って思うもん。二人の世界作られたらうわ、って思うもん。
「あ、えーと…他に分からないところ、あるかな?」
「だ、大丈夫です。分からないところあったらまた教えてください」
ウィ、と返事してノエルさんは向かいに座り直した。ホッとしたのと同時にちょっと残念だ。残念って。あー。やっぱ私ノエルさんのこと。
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りいか - クッソ好きだ…………!なんだこのドストライクゾーン!!これからも執筆頑張ってくださいっ! (2021年8月7日 2時) (レス) id: 6698df4412 (このIDを非表示/違反報告)
わたる(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 33016a5e7b (このIDを非表示/違反報告)
まる - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月4日 22時) (レス) id: d1b5e30223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたる | 作成日時:2018年11月4日 22時