36-3 ページ48
「あー！なんで先輩ギャングラーかなー！悪い奴かなー！軽口叩くし、人からかうし、無茶苦茶だし、無茶苦茶頼りになるし、いい人だし、先輩いたから仕事続けられたし…なんでギャングラーかなぁ…」
「Aちゃんと会う前からギャングラーだったんだろ」
そうだけど、と彼女は机に突っ伏した。テーブルの皿が弾かれて、中身が転がる。グラスが倒れる。わあわあと初美花が布巾を取りに行った。
「そう割り切れるもんじゃないんだよ」
と言う言葉を最後にAさんからはすうすうと穏やかな寝息が聞こえ始めた。寝落ちが早い。お開きにしよっか、と初美花が片付けを始める。
「…Aちゃん、どうするよ、透真」
「何故俺に聞く」
「Aちゃん連れてきたの透真じゃん」
「……兄を呼べばいいだろう」
ま、そうだよな。と魁利はスマホを取り出し、電話をかけ始めた。
「あ、もしもし。圭ちゃん？今さー、Aちゃん、ジュレにいるんだけど、酒呑んで寝ちゃったから回収に来てくんない？…。いや、俺と初美花は呑んでない呑んでない。酒呑んだのはAちゃんと透真だけ。…。うん、そう。おねがーい」
すぐ来るってよ、という言葉にうなづく。初美花は手際よくテーブルの上を片付ける。
「Aさん、いつも冷静なのにね」
「それほどショックだったんだろ」
「…あの人は、人の心を惹き付けるのがうまかったからな」
「透真は、平気？ショックじゃない？」
「俺はつい最近まで忘れてたくらいだからな…。ショックじゃないわけではないが…、Aさんほどではない」
「Aさん、また元気になってくれたらいいね」
「そうだな」
「あれ、透真がそんなこと言うなんて珍しいじゃん」
「…。彼女には、助けられたことがあるからな」
ジュレの扉が開き、朝加圭一郎が現れた。彼は頭を下げて謝った後、彼女をおぶって去って行った彼女は俺らの正体に気づいた上で、警察には伝えていない。ギャングラーと戦う時だって、偽物を教えてくれたこともあった。彼女が元気になろうがなるまいがどちらでもいいが…、強いて言うなら元気の方がいいだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りいか - クッソ好きだ…………！なんだこのドストライクゾーン！！これからも執筆頑張ってくださいっ！ (2021年8月7日 2時) (
レス) id: 6698df4412 (このIDを非表示/違反報告)
わたる(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 33016a5e7b (このIDを非表示/違反報告)
まる - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月4日 22時) (レス) id: d1b5e30223 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたる | 作成日時：2018年11月4日 22時
