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パトレンジャーに変身した兄さんたちが、ギャングラーに向かっていった。ベンチに腰かけたまま、茫然をその様子を眺める。一体、何が悪かったのだろう。私が、気付かなければこんなことにはならなかったのだろうか。でも、それは正しいことなのか。兄さんたちはこのまま先輩を倒す。倒さなければいけない。先輩を。
「ギャングラー、だよ」
ノエルさんが私の手を包む。手の震えが止まらない。
足元の地面がはぜる。ギャングラーがこちらに銃を向けていた。
「朝加、お前のせいでいろいろ狂うぞ」
「な、にを…」
「お前の周りがな」
「…え」
「お前は本当に酷いやつだな。お前が気付かなければ、なにも変わらなかったのに」
ギャングラーが銃を構える。弾丸が打たれる。世界がゆっくりに見える。あ、当たる。死ぬかな。やけに冷静にその状況をとらえた。
目の前に赤い快盗が現れた。大きな盾で、弾丸を弾いた。
「アンタがそれ言うのかよ。悪いのはアンタだろ」
ルパンレッドがこちらに顔を向ける。くいっと首を動かして離れるようジェスチャーする。
「戦いに参加しないのにそんなところ居られるの、メーワクなんだけど」
「そうだね、レッドくん。Aちゃん、避難しよう」
ノエルさんにひかれるままその場を離れた。ダメだ、うまく体が動かない。震えが止まらない。しばらくノエルさんにひかれ、ベンチに腰を下ろした。ノエルさんが前に跪き、私の頬をぬぐった。
「泣かないで。Aちゃん」
「…泣く?」
頬に触れて気づいた。私はいつから泣いていた。何に泣いているんだろう。先輩がギャングラーだったことか。裏切られたことだろうか。私が、先輩を裏切ったことだろうか。
「僕がいるから」
ノエルさんが私を抱き寄せ背中を撫でる。ぽんぽんと、脈よりほんの少し遅いリズムで。ぎゅう、とノエルさんの服を掴んだ。
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りいか - クッソ好きだ…………!なんだこのドストライクゾーン!!これからも執筆頑張ってくださいっ! (2021年8月7日 2時) (レス) id: 6698df4412 (このIDを非表示/違反報告)
わたる(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 33016a5e7b (このIDを非表示/違反報告)
まる - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月4日 22時) (レス) id: d1b5e30223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたる | 作成日時:2018年11月4日 22時