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「変な感じですね」
「そうだね〜」

ノエルさんが紅茶を淹れてくれた。そのカップを受け取った時、自分の手が見えて違和を感じた。いつものような丸みを帯びた手ではなく、筋張った手。いつものような丸みを帯びた手は向かいに座る女の手だ。目の前にいるのは鏡を見るときとかに会う女。まぁ、つまり、目の前には私がいる。私の姿をした、ノエルさんがいる。私はノエルさんの姿をしている。ギャングラーの力でこうなった。兄さん達に助けてもらい、いまは国際警察に避難している。ノエルさんが淹れてくれた紅茶を飲む。

「美味しい」
「良かった」

ニコッと私が笑う。ああ、ノエルさんか。その笑顔をまじまじと見てしまう。

「なにかな?」
「私ってこんな風に笑うんですね…」
「なかなか自分の笑顔って見る機会多くないからね。僕もちょっと思ってたとこ」

変な感じだなぁ。

「すまないね、Aさん。巻き込んでしまって」
「ヒルトップさん、Aはこっちです」

ヒルトップさんが謝ってくれたが、視線はノエルさんの方だ。指摘すれば間違えたことについて謝ってくれた。

「どうも紛らわしいネ」
「私は混乱してます。ノエルさんがAさんで、Aさんがノエルさん…うう」
「一時的になにか対処したほうがいいですかね」
「うーん…。おそらく圭一郎くん達が直ぐになんとかしてくれるだろうし…。戻す手間も考えたらする必要はないんじゃないかな。僕ら二人が一緒にいれば間違えても問題無いよ」
「そうですね」

私の体なのに、仕草や動き方はノエルさんなんだよなぁ…。…うん。そうだった私今日スカート履いてたんだった。

「ノエルさん、あまり色々言うつもりはないですが、足だけ閉じてもらっていいですか」
「え?あ、ご、ごめん!」

ばっと足を閉じて膝の上に手を置いてくれた。

「いえ、慣れてないと開きますよね」
「全然気にしたことなかった…。女の子って大変だね」
「男性は男性で大変でしょう」

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りいか - クッソ好きだ…………!なんだこのドストライクゾーン!!これからも執筆頑張ってくださいっ! (2021年8月7日 2時) (レス) id: 6698df4412 (このIDを非表示/違反報告)
わたる(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 33016a5e7b (このIDを非表示/違反報告)
まる - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月4日 22時) (レス) id: d1b5e30223 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わたる | 作成日時:2018年11月4日 22時

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