29-1 ページ21
「変な感じですね」
「そうだね〜」
ノエルさんが紅茶を淹れてくれた。そのカップを受け取った時、自分の手が見えて違和を感じた。いつものような丸みを帯びた手ではなく、筋張った手。いつものような丸みを帯びた手は向かいに座る女の手だ。目の前にいるのは鏡を見るときとかに会う女。まぁ、つまり、目の前には私がいる。私の姿をした、ノエルさんがいる。私はノエルさんの姿をしている。ギャングラーの力でこうなった。兄さん達に助けてもらい、いまは国際警察に避難している。ノエルさんが淹れてくれた紅茶を飲む。
「美味しい」
「良かった」
ニコッと私が笑う。ああ、ノエルさんか。その笑顔をまじまじと見てしまう。
「なにかな?」
「私ってこんな風に笑うんですね…」
「なかなか自分の笑顔って見る機会多くないからね。僕もちょっと思ってたとこ」
変な感じだなぁ。
「すまないね、Aさん。巻き込んでしまって」
「ヒルトップさん、Aはこっちです」
ヒルトップさんが謝ってくれたが、視線はノエルさんの方だ。指摘すれば間違えたことについて謝ってくれた。
「どうも紛らわしいネ」
「私は混乱してます。ノエルさんがAさんで、Aさんがノエルさん…うう」
「一時的になにか対処したほうがいいですかね」
「うーん…。おそらく圭一郎くん達が直ぐになんとかしてくれるだろうし…。戻す手間も考えたらする必要はないんじゃないかな。僕ら二人が一緒にいれば間違えても問題無いよ」
「そうですね」
私の体なのに、仕草や動き方はノエルさんなんだよなぁ…。…うん。そうだった私今日スカート履いてたんだった。
「ノエルさん、あまり色々言うつもりはないですが、足だけ閉じてもらっていいですか」
「え?あ、ご、ごめん!」
ばっと足を閉じて膝の上に手を置いてくれた。
「いえ、慣れてないと開きますよね」
「全然気にしたことなかった…。女の子って大変だね」
「男性は男性で大変でしょう」
88人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りいか - クッソ好きだ…………!なんだこのドストライクゾーン!!これからも執筆頑張ってくださいっ! (2021年8月7日 2時) (レス) id: 6698df4412 (このIDを非表示/違反報告)
わたる(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。 (2018年11月4日 22時) (レス) id: 33016a5e7b (このIDを非表示/違反報告)
まる - オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月4日 22時) (レス) id: d1b5e30223 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わたる | 作成日時:2018年11月4日 22時