新たな快盗―――赤 ページ4
―――勝利side
俺から見た彼女は、妹のようだった。年齢的にも年下だということもあるのだろうけど。彼女にも兄がいると聞いてなんとなく納得した。兄か姉がいるんだろうなとは思っていた。その兄が国際警察の朝加圭一郎さんだと聞いた時は驚いたけれど。
朝加圭一郎さん。俺がギャングラーの氷から解放されて、事件の事情聴取で呼ばれて彼に会った。魁利が快盗で、俺たちを助けてくれたというのも彼から聞いた。彼から聞いただけでも、魁利が悩んで成長して苦しんで、そして俺を助けてくれたことが十二分に伝わってきた。
そのあと、コグレさんが魁利たちを助ける方法を教えてくれて、俺たちは快盗になった。魁利にためにも、圭一郎さんのためにも、そして、俺自身のためにも、魁利を助けたい。
Aさんは警察の圭一郎さんの妹であり、快盗であることを知った上での魁利たちの友人であり、ノエルさんの彼女だった。
強い人だ。まっすぐ立つその姿は圭一郎さんに似ている。そのことを彼女に言えば、きょとんと眼を丸めた。口元を緩めて楽しそうに笑う。
「立ち姿が似ていると言われたのは初めてですね。兄さんは熱血で、私は冷静で、似てないって言われますよ」
「そうかな。俺はよく似ていると思ったけど」
「まぁ、育ちが一緒ですからね。勝利さんは魁利くんとしゃべり方似てますよ」
Aさんは体の中にとても正確な体内時計を持っているらしい。それで人の喋り方を計るクセがついているらしい。俺が魁利の兄だということもそれで気づいたようだった。
「俺らは二人きりの家族だからね」
「一番よく聞く人の喋り方に似るみたいなんですよね。うちの両親の喋り方も似てるんですよ」
「じゃあ、彩さんと透真くんも似てるのかな？」
「いまはあんまり」
10年後が楽しみなんですよね〜とAさんは楽しそうに笑う。
「Aさんとノエルさんも似るのかな」
「…そうなったらいいなと思ってます。そうしたいな」
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作者名：わたる | 作成日時：2019年11月30日 22時
