新たな快盗-1 ページ1
勝利さんが盛大にコケる。彩さんがそれを笑って起こしに行く。詩穂ちゃんが資料用に撮りますからちょっと待ってくださいと写真を撮る。ノエルさんがニコニコと笑顔で、もう一回だね、と言った。
勝利さん達3人は新たな快盗として、ノエルさんから教育を受けている。ギャングラーの数も減っているからか、魁利くん達の時よりも派手な動きは控えめだ。その代わりワイヤーとか、高所からの潜入とか、どちらかといえばスパイの様なことをしている。
勝利さんはスポーツをやっていたと聞いたから動けるかなと思ったけど、思ったよりは、という感じだ。スポーツとしては運動神経も良いのだろうけど、快盗はどうやら動きが全く違うらしい。詩穂ちゃんは、良くも悪くも年頃の女の子という感じだ。若さで乗り切っている。意外だったのは彩さん。基本何でもできるし、肝が座っている。「透真のためならこれくらい平気よ」とのことらしい。愛の力だ。ちなみに2人もこの言葉を聞いて奮起していた。
うーん…。
「いいなぁ」
「なにが？」
うっかり漏れた心の声がノエルさんに拾われてしまった。ノエルさんを見上げる。無言で見上げる私を疑問に思ったのか首を傾げた。
「ノエルさん」
「なんだい？」
「新しい快盗、シルバーはいらないですか」
「…？？？」
「私も快盗やりたい」
「だめ」
即答…。
「なんでですか。ルパンエックスしたい！」
「ルパンエックスは僕がいるから」
「代替えしましょ」
「しない。それにエックスチェンジャーは人間には使えないよ」
「だめもと」
使えないんだけどなぁ、と言いつつもノエルさんは私にエックスチェンジャーを渡してくれた。見よう見まねで構える。
「警察チェンジ！」
「そこは快盗チェンジじゃないのかな」
グッとトリガーを握るが何の反応もない。もう一度。
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作者名：わたる | 作成日時：2019年11月30日 22時
