俺たちの青春！2【東海オンエア】

進み方 ページ30

ゆめまるside




夏らしいジメジメした風が

夜の街を吹き抜けた。



「珍しいやん、ゆめが誘ってくるって」



ゆ「まあまあ、そういう日もあるやん」




いつぶりかのサシ飲み。

今回は俺からまみこを誘った。




正直、俺の出しゃばるとこじゃないのかもしんないけど

それでも聞いておきたかったこと。





もう4年も5年も一緒にいれば直ぐにわかる。
最近、まみこを囲むあいつらの、空気が変わった。


きっと始まってしまったんだ、と俺すら察した。


まみこはわかってるかどうか、知らないけど。



「とりあえずビール2つ、お願いします」


店「かしこまりました」




「さて、ゆめが誘ってきたということは何かお悩みがあるのかな？」



ゆ「いや、Aの気持ちを聞きたいなーと思ってね？」


「え、なんの？」



お通しで出された小鉢の野菜を食べながら聞くA。

やっぱりわかってないやつだ、これは。




ゆ「実はメンバー内で、好きな人いたでしょ？」


目を丸く見開いて俺の顔を見る。


「…うん、まあ」


ゆ「今はどうなの？」


「ん〜どうって、言われてもな…笑」



恥ずかしいなぁと言いながら、運ばれてきたビールジョッキを俺のにコツンと合わせる。





ゆ「その…俺らは昔のこと知ってたしさ…

まだ触れない方がいい傷ってあるやん、だから聞いてなかったんだけど…

じゃあもし、今誰かに好かれたら、それ受け入れられる？」



言葉を選びながら、問いかける。



「ん〜…それはわかんない。


そもそも、好きってなんなのかわからんくなったわ、もう。

…って、いい歳して何言ってんだろうね？笑」



ゆ「…そうだね笑」


確かに世の中の24、5の女の子は、きっとこんなことで悩むことなんて無いんだろう。

ごく普通の恋人との幸せを当たり前のように思いながら、

それなりに幸せな恋愛をしているんだ。



「けどしばらくはそんなこと考えるのやめることにした」


ゆ「どういう意味？」


「いや〜、なんで普通に恋愛できないんだろう、拗らせてるんだろうって、悩んでたけどさ」



ジョッキを両手で持ったまま、言葉を続ける。


「時が気持ちを解決するやん。今すぐにはどうにもできん。

だから、無理に上手くやろうとすんの、やめた」



完璧主義で思いつめるのが悪い癖だった彼女。


それを、ちょっとずつ。



ゆ「…大人になったね？笑」



「まだまだ精神年齢ガキだけどね笑」



きっとこれが、彼女なりの進み方だ。

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