俺たちの青春！2【東海オンエア】

さよなら ページ14

まみこside




「A、久しぶり。智樹だよ。知ってるかどうかわかんないんだけどさ、俺今バンドやってんだよね。
…それで、こんなお願い聞いてくれるかわかんないけど、キーボードのヘルプを探してる。やってくれないかな…？」


ある日TwitterのDMにきたメッセージ。

見たくもなかった名前だったけど。


試しにそのDMの送り主のツイートを見てみる。

やっぱり、あの智樹だ。



最初は断ったんだけど。

ツテがお前しかいない！本当に頼む！！


そう言われたら頼み事に弱い私が断れる訳もなくて。




『美人だったから相手してやったのに』


智樹のあの言葉をずっと消せずに、智樹を避ける自分も嫌で。









前日に音合わせのリハをして、本番。



出番30分前の控え室

まるで高校のあの記憶なんて無かったかのような智樹。


智「相変わらず美人だよな！東海オンエアいつも見てるんだぜ、俺ら。俺もお前らに負けねぇくらい有名になるからな！」

そして私の肩を抱く。



だから私も知らないふりをした。


傷つけられたことなんてなんとも思ってない。そういうふりをした。







智「なあ、A！今日はありがとな！…あのさ、せっかくの再会だしこの後二人で飲みに行かね？」



フェスが終わって、控え室で荷物を取り出してるところだった。


LINEに虫さんから連絡が来てる。




「みんなで打ち上げとか無いの？私は帰るけど。」


智「用事ねぇんだろ？いいじゃん」




東京の大学に進学した智樹は、4年間ですっかり標準語になっていた。





「…ごめん、迎え来るから。」


智「…なに？彼氏？え、お前彼氏いんの？

どうせそいつも顔目当てじゃね？笑



お前、顔とだけが取り柄じゃん笑」



あれ、どうやって怒ればいいんだっけ

あの時、どうしたんだっけ


…そうか、真姫が助けてくれたんだ。




何とも思ってなかったことにはやっぱりできないよ


だって苦しかったんだから。






握りしめていたスマホが鳴った。



表示された、太紀さん の4文字




虫「A、LINE見た？もしかして打ち上げある？」


「…ううん、無いよ。」


虫「車持ってないでしょ。駐車場で待ってるからね」


「ありがとう」





私の内側をもっと見ていてくれる人は、


私の周りに6人もいるんだ。



未だに色々心配して連絡をくれる、真姫も入れて、7人。




……そう、信じていいんだよね、太紀さん。



「…もう中身を見てくれる人がいるからいいの。

さよなら」

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