story56 文化祭シーズン ページ14
陽毬side
星なしの脱走騒ぎは公になることなく、いつもと変わらない日常が続いていた。僕はあれから少し任務を増やされたとはいえ、この程度のことであの件を揉み消せるなら安いものだ。
今日も朝礼の後いつも通りの日常が続くのかと思ったが、どうやら違うらしい。
「みなさん! もうすぐ文化祭シーズンがやってきますねー!」
ナルからの発表に、クラス中が歓声を上げ笑顔を咲かせる。それをナルが諌めようとしているが、結局一番はしゃいでいるのは彼なので説得力が皆無だ。
文化祭とは初等部、中等部、高等部合同で行う、能力別クラス対抗バトルのようなものだ。能力別とはいえ、参加するクラスは潜在、技術、体質、特力系の4クラスだけで僕や棗が所属する危険能力系クラスにはまったく関係のない話。
毎年、この時期になると忙しそうにしているみんなをぼーっと眺めながら僕らは高みの見物をしてる。楽しみといえば、学園祭限定で発売されるお菓子やグッズを買い漁ることぐらい。
文化祭についての説明が終わってナルが教室から去った後、教室にざわめきが戻る。文化祭が始まるということで、今日からは通常の授業に加えて、文化祭に向けての準備も始まる。僕も棗も暇だから、適当にジュースを飲みながら時間を潰していると、そこへ星なしがやってきた。
「なーなー、アリス学園の文化祭って一体どんな感じのことするのー?」
そしてなんと笑いながら棗の肩に手を置いたのだ。勿論棗がそんな質問に答えるわけもなく、棗は星なしの髪を一房掴んで燃やしてしまった。
何故棗に話しかけようと思ったのか星なしの真意は謎だが、彼女には棗とうまくやれる自信でもあったのだろうか。
髪を燃やされて不機嫌になった星なしは現在、委員長に慰められて機嫌を取り戻している。目を爛々と輝かせながら、先ほど棗に聞けなかったことを仲良しグループに聞いている。
「特力は……えっとー。」
「特力系なんか、さしてとりえもない不人気No. 1クラスだよ。」
「お前、あん時のイヤミワカメ頭ーっ!!」
能力別の説明が特力系に差し掛かろうとしたとき、何故か教室に現れた中等部生から横槍が入った。そこにいたのは以前、僕らに絡んできたワカメ頭とその場にいたもう1人の男。
星なしがワカメ頭に気付き、ぎゃーぎゃー騒ぎ立てることに苛ついたのか、ワカメ頭の存在にムカついたのか、棗が側にあった皿を蹴り落として注意を引く。
うるさかった教室が一瞬で静まり返った。
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えるふぃ(プロフ) - Rumiさん» Rumiさん、ご指摘ありがとうございます!! 火事に直してきました!気が付かず申し訳無いです…。細かいところまで読んでくださってありがとうございます! (2020年5月3日 1時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
Rumi(プロフ) - あの71話の火事が家事になってますが…。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 29532e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり - 30話目のアリス祭のとこのワカメさんのセリフ「ああ忘れる所だった。不人気どころかー...」が蜜柑のセリフになってるぞー。 (2014年4月12日 10時) (レス) id: 057e594f88 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - チェナさん 間違いを教えて下さりありがとうございました。助かりました。
一応気付いたところは直しました。
また 何かあったら言って下さいm(_ _)m (2013年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - アルト(οπο)さん» アルト(οπο)さんありがとうございます。
初めて自分の作品にコメントを戴きをその上誉められるなんてとっても嬉しいです♪
これからも書くの頑張ります(≧∇≦) (2013年12月2日 0時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2013年11月29日 23時