story63 入院 ページ21
陽毬side
意識を取り戻したのはベッドの上。見覚えのある天井と鼻をつく薬品の匂いで、ここが病院だと言うことに気が付いた。周りを見ると、隣のベッドに棗が寝ていることに気付いた。
苦しそうに顔を歪めているものの、ボロボロだった彼の身体が治療され綺麗になっているのを見て安堵した。
部屋の照明は落とされカーテンは閉ざされている。人の気配もないことからまだ夜は開けていないだろう。ベッドから出ようと試みたが、身体がなかなか言うことを聞いてくれない。
「っ、陽毬ちゃん！ 目が覚めたの！？」
思い通りにならず悪戦苦闘していると、静かに病室の扉が開かれた。入ってきたのはナルで、僕の顔を見るなり焦って駆け寄ってくる。
ナルの話によると、僕と棗は急患として病院に運び込まれたらしい。棗は酷い傷を負っていた上、過労による体調不良を患っていたらしく治療後入院することに。
僕はというとアリスが暴走寸前だったらしく、先ほどまで集中治療室にいたらしい。やっと容体が落ち着き一般病棟に移れたが予断を許さない状況らしく、同じく入院することとなった。
ナルは僕らの入院手続きを済ませ、最後に顔を見て帰ろうと病室を覗いたら、僕が起き上がっていて驚いたとのこと。
「どうしてこんなになるまで無理したの！？」
心底心配した顔でナルが言う。棗が起きないようにか声量は小さかったが、十分な気迫がこもっていた。
今回の原因は短期間にアリスを使いすぎたことだ。任務が増えたから仕方なかったと言っても、ナルはこの間の事を思い出して自分を責めるだろう。
「別に……ナルには関係ないでしょ。」
「関係無い訳ない！どれだけ僕が心配したか……。」
だから僕は本当のことは言えなかった。気の利いた言い訳すら思い浮かばなかった。
ナルの悲痛な顔に心が痛む。本気で心配してくれてる様子に心が揺らぐ。それでもナルに責任を負わせたくない、自分のせいで苦しんで欲しくない。
だから当たり障りのない言葉をかけて丸く収めようとした。彼が罪悪感を持たないように。だけどその時、ふと笑顔のナルと星なしの顔が頭に浮かんだ。
転入初日に正門の前で、正式入学をかけたゲーム時に北の森で、星なしの脱走騒ぎのときに学園の外で、そしてナルの家のベッドの中で。思えばここ最近ナルは星なしのことを特に気に掛けていた。自分の立場を危うくしてまで星なしの味方であろうとしている。
あの日のように胸のあたりが締め付けられるように痛んだ。
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えるふぃ(プロフ) - Rumiさん» Rumiさん、ご指摘ありがとうございます！！ 火事に直してきました！気が付かず申し訳無いです…。細かいところまで読んでくださってありがとうございます！ (2020年5月3日 1時) (
レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
Rumi(プロフ) - あの71話の火事が家事になってますが…｡ (2020年5月3日 1時) (レス) id: 29532e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり - 30話目のアリス祭のとこのワカメさんのセリフ「ああ忘れる所だった。不人気どころかー...」が蜜柑のセリフになってるぞー。 (2014年4月12日 10時) (レス) id: 057e594f88 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - チェナさん 間違いを教えて下さりありがとうございました｡助かりました｡
一応気付いたところは直しました｡
また 何かあったら言って下さいm(_ _)m (2013年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - アルト（οπο）さん» アルト（οπο）さんありがとうございます。
初めて自分の作品にコメントを戴きをその上誉められるなんてとっても嬉しいです♪
これからも書くの頑張ります(≧∇≦) (2013年12月2日 0時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2013年11月29日 23時
