story44 追跡者 ページ2
陽毬side
尻餅をつく直前、僕の瞳に飛び込んできたのは驚いて間の抜けた、星なしの顔。焦っていてブレーキがうまくかけられずにいた僕の体は、彼女にぶつかった衝撃でいとも容易く地面に吸い込まれていった。彼女は何とか踏ん張ることができたみたいで、そのまま立っていた。
星なしは一瞬、自分に何が起きたのか分からなかったらしく惚けていたが、僕と棗の顔を認識した途端に、目を見開いて声を上げた。
「なっ、棗！？ それに陽毬も！」
予想以上に大きな声が響き、棗が咄嗟に星なしの口を押さえた。抑える手が鼻をも覆ってしまっているためか、彼女はじたじたと苦しそうにもがく。呻き続けているため、棗は押さえる手を緩めようにも緩められないでいる。
そんな時、近くにいるだけで寒気がするようなオーラを漂わせた人物、ペルソナの気配を感じた。
彼は僕と棗の名前を呼びながら一歩、また一歩とこちらに近づいてくる。
「喋るな。少しでも騒いだら殺す。」
なおも暴れ続ける星なしに、息も絶え絶えな棗が脅しをかける。僕も気付かれないように息を殺した。
やがてペルソナは僕らの名前を呼びながら、この場から離れていった。それを確認した瞬間、僕も棗もやっと力を抜いた。限界まで酷使した足を地面に投げ出して壁に寄りかかる。かつてこれほどまでに１秒を長く感じたことはない。
緊張の状態にあったのは星なしも同じで、押さえる手の力が抜けたのを感じた彼女は、棗の手を払い除け、酸素不足のためかはたまた怒りからか真っ赤になって喚く。
「なっ……何やねんお前ら、人にいきなり掴みかかって！ ふざけんなっ、アホ！ ボケ！」
いきなり飛び出してきた人にあんなことをされて怒るのも無理はない。むしろ今回の場合、非があるのは完全に僕たちのほうだ。ただ息が整ってなくて喋るのが辛いのと、ぎゃあぎゃあ喚く星なしの相手をするのが面倒なので僕も棗もしばらく無視していた。
無視されていることに気づいた星なしはいっそう怒りがヒートアップしたみたいで、声量が上がる。そうしているとその声を聞きつけた中等部の生徒がこちらにやってきた。そういえば今日は午後から能力別クラスの時間だ。その移動のために教室からだいぶ離れたこんな場所を通ったのだろう。
「おいアレ、棗と陽毬じゃん。」
騒ぎに気づいたのか、中等部生は足を止めてこちらに視線を向けた。よくよく相手の顔を見てみると、そこにいたのはいつも僕らに絡んでくるやつらだった。
story45 中等部のやつら→←story43 追跡者※修正完了
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えるふぃ(プロフ) - Rumiさん» Rumiさん、ご指摘ありがとうございます！！ 火事に直してきました！気が付かず申し訳無いです…。細かいところまで読んでくださってありがとうございます！ (2020年5月3日 1時) (
レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
Rumi(プロフ) - あの71話の火事が家事になってますが…｡ (2020年5月3日 1時) (レス) id: 29532e4533 (このIDを非表示/違反報告)
ひらり - 30話目のアリス祭のとこのワカメさんのセリフ「ああ忘れる所だった。不人気どころかー...」が蜜柑のセリフになってるぞー。 (2014年4月12日 10時) (レス) id: 057e594f88 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - チェナさん 間違いを教えて下さりありがとうございました｡助かりました｡
一応気付いたところは直しました｡
また 何かあったら言って下さいm(_ _)m (2013年12月25日 22時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - アルト（οπο）さん» アルト（οπο）さんありがとうございます。
初めて自分の作品にコメントを戴きをその上誉められるなんてとっても嬉しいです♪
これからも書くの頑張ります(≧∇≦) (2013年12月2日 0時) (携帯から) (レス) id: 39d6b953a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2013年11月29日 23時
