せくしーたち5

子ども扱い ページ14

勝利side

さっき風磨くんに軽くだけど叱られてちょっとムカついてんの。だから風磨くんに仕返ししたくて。だって別に大したことでもないんだよ？

収録中に足ぶらぶらするなって。そんなことで怒らなくてもさぁ、優しく言ってくれたらよくない？しかもパシって足叩かれたし。ムカつくんだよね。

あ、風磨くんきて椅子座ろうとしてる。チャンスだ。さっと後ろに回って椅子をパッと引いた。

「うわっ？！」
普通に尻餅ついてる。痛い思いすればいいんだ。
「風磨くん、俺分かってるからいちいち怒んないで！」
って言ったらそうだよな。こんなことでもすんな。くらいで笑って頭撫でてくれると思ってた。なのに

「ったぁ。ちょ勝利、中島呼んできて。」
って立ち上がらずに言うんだ。え？そんなに？ちょっとビックリしちゃって健人くん慌てて連れてきた。

「菊池？どうした！」
「腰、腰にきた。医務室連れてって」
健人くんが風磨くんに肩貸して連れていくのみて怖くなった。そういえば今日腰痛いって言ってなかったっけ。

しばらくして健人くんがめっちゃ怒って帰ってきた。
「勝利！！！」
あぁ。いっつもこう。上手くいかない。なんでだよ。
「だってさ、風磨くんがほんっとしょーもないことで俺のこと叱って足叩いたんだもん。ちょっとわかってほしかっただけなのに。」
なんも聞かれてないけど、とにかく伝えたくて、俺だってもう大人なんだから分かってるって言いたかった。

「勝利、どうでもいい。お前が椅子引いたことに対して俺は怒ってる。そこにどんな理由があろうと関係ない！」
って言い切られてこっちに近づいてくる。なんなの！なんも話聞いてくれないじゃん！

だから悔しくて。
「俺の気持ちなんてわかんないよ！！いっつも1人だもん！聡マリも健人くんたちも2人だけど俺だけ1人！わかんないよ！！」

って怒鳴っちゃった。別にそんなこと言いたかった訳じゃなかったのに。その瞬間に健人くんが足を止めた。

「勝利、そういうことじゃない。」
「...だって」
「お前は1人じゃないし、俺たちだって2人じゃない。5人だ。シンメとかあるけど、一人一人がそれぞれお互いのこと大事に思ってたらそれでいいんだ。」

そんなこと言われなくてもわかってるし、俺だってその2人が好きなのに。わかってる。わかってるのに！話聞いてほしいだけなのに！
「わかってるよ！俺のことなんもわかんないやつみたいに言わないで！」

めんどくさいやつって思われてんだろうけど引くに引けないし。

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