風邪引きZone【５】

☆ ページ43

健人さいど
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健「…」

病室の窓から何となく外を見る
ここ、静かで平和

例のスタッフさんだってここにはいないんだもん

殴られ暴言を浴びせられ、挙句手首の傷の数々
体が衰弱して仕事に追いつけなかったらしい
スタジオでのことはあんまり覚えてなくて、次気がついたのは病室だった

「中島さん、お昼ご飯置いておきますから食べれるだけ食べて、回復させましょう」

看護師さんがお昼ご飯置いてった
右腕には点滴
左は…切った跡があるからこれ以上刺せないって
こんなのに頼らないと危ないってところまできてたらしい


ﾄﾝﾄﾝ…

健「はい？」

看護師さんが出ていって少しして、ドアがノックされた
思わず身構えたけどドアを開けたのは風磨だった

風「よかった。思ってたより元気そうじゃん」

健「うん…」

風「昨日先生から聞いた。何で言ってくれなかったの。何があった」

直接は言わないけどきっと風磨は全部知ってるんだろう
病院に同行してくれたのも風磨だったって聞いた

健「…」

風「中島。中島が経験した辛さとか計り知れないし、俺にはわかんないよ。でもさ、手首。それはやりすぎ。…自分で自分傷つけてんじゃねぇよ！」

怒鳴られて、でも怒鳴る風磨も涙目で、俺のしたことの重大さが身にしみてきた

健「…ｸﾞｽｯ」

風「勝利たちになんて言うつもり？」

健「…」

風「俺は、お前が苦しんで辛い思いしてるなら助けたい。だからこそ、お前の気持ちも知りたいし、これからどうしたいのかとか、…何でそんなことしたのか、も」

俺の中で何かストッパーが外れて、思わず全部打ち明けた
途中から言葉が詰まってきたけど風磨はゆっくり待っててくれた

風「そっか…。ずっと気づいてやれなくて悪かった」

健「ｸﾞｽｯ…ごめんなさい…怖かったっ…」

殴られるのも、手首切って死ぬのも、何もかもが怖かった

風「大丈夫大丈夫。俺が助けるから」

風磨が優しく抱きしめてくれて
涙が止まらなかった
風磨の腕の中で何年ぶりかに泣きじゃくった

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