十雫。 ページ10
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「............」
悲しんでいるのか、恨んでいるのか、
それとも驚いているのか、
どうともとれるAのその表情。
だがAよりも先に、女性が声を発した。
「咲坂A!?」
「.........っえ、」
「咲坂Aさんと菊池風磨さんですよね?
ドラマ、見てたのよ!
ヒロさん、これどういうこと!?」
若そうなAの母らしき女性は、
まるで少女のように顔を綻ばせ喜んでいる。
呆気に取られる俺たちをおいて、
ヒロさんと呼ばれた男性と彼女は
どこかで見たことあると思った だの、
なんで気づかないの、
ええと...硫星の泪だったかしら、
ドラマ毎週見てたじゃない だの、
これはどういうことなの、サプライズ?だの、
それはそれは楽しそうに会話中。
全く状況が掴めない俺達は俺達なりに、
少しの間小声の話し合い。
(どういうこと?誰なの?)
(あの男の人もだし、女性の方も...
あの人はAの母親で間違いないんだよね?)
(間違いない...全然変わってない。でも...)
「すみません、おふたり。
どうぞどうぞ、上がってください」
母親はなんだかAだと気づいていないよう。
いや、わかってはいるけど
咲坂Aだと純粋に驚いている。
まるで好きな女優が
目の前に現れたかのように...。
男性は男性で、
知り合いだと言った俺達のことを
知っているそぶりが全然ない
(もちろんプライベートとして)
めいの母親になんの疑問も持たず、
こちらを警戒することもなく、
恐ろしく普通に家にあげようとしている。
...なんなんだ?この、妙な空気は。
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ひなの_FmKn - このお話すごく大好きです...!応援してます! (2019年3月31日 16時) (レス) id: c768473685 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - お話読ませてもらいました!とってもいいお話で泣いてしまいました!続きも気になるので更新してほしいです! (2019年3月24日 14時) (レス) id: e1ff624753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YUi | 作成日時:2019年2月12日 14時