十一雫。 ページ11
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「荷物はこちらに置いてください」
男の人に着いていくと、
Aの母親がいるリビングを出たところで
こちらを振り返った。
「...ご存知なかったんですね。」
「え...？」
「ゆかりは...数年前から
それ以前の記憶がないんです」
握っているAのその手が
どんどん冷たくなっている気がして、
俺はそっと引き寄せて腰に手を回した。
放心状態に見える君は、今にも倒れそうだ。
「私と彼女の関係は後で話すとして。
あなた方は...」
「ゆかりさんの娘のAと、
その夫の菊池風磨です」
「そうなんですね。いや、驚きましたが...
...わかりました。
ですがおそらく混乱してしまうと思うので
取り敢えずあなた方のことは...」
「知り合いではないという体にして頂いて
構いません。」
「そうですか。わかりました。
ああ、私のことはヒロさんとでも
呼んでいただければいいですから」
話し合いが終わりリビングに戻ると、
ゆかりさんは俺たちのために
お茶を入れてくれていた。
「どうぞどうぞ。
お口に合わないかもしれないけれど...」
「いえいえ、ありがとうございます」
Aはひとことも話さない。
だけど俺が強く手を握ると、
握り返してくれる。
“大丈夫だよ”
ふたりが見ていない隙にそっと囁けば、
俺を見上げてほんのちょっとだけ
笑ってくれた。
こんなことを今思うのは馬鹿だけど、
俺にだけ心を許してるその感じが
可愛くて、胸がぎゅっと締め付けられる。
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ひなの_FmKn - このお話すごく大好きです...！応援してます！ (2019年3月31日 16時) (
レス) id: c768473685 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - お話読ませてもらいました！とってもいいお話で泣いてしまいました！続きも気になるので更新してほしいです！ (2019年3月24日 14時) (レス) id: e1ff624753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：YUi
| 作成日時：2019年2月12日 14時
