四雫。 ページ41
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「...Aはさ、
今の仕事のことどう思ってる?」
「うん?女優のこと?」
「そう」
Aは少しの間思案する顔を見せた後、
「特に思い入れはないかな」
そうあっさりと切り捨てた。
「私にとって女優は、
特別でも長年の夢でもなんでもない
ただの収入源だから。
だから、例えばもし誰かに辞めてくださいって
言われても嫌だとは思わないし。」
親の適当な考えで入らされた芸能界。
一気に知名度を上げ駆け上がった十代。
数多くの賞を受賞し、
全てを手に入れたかのように見えた貴方は
実は何もかもを失っていた。
そんな貴方のことを愛してしまったのは
他でもない俺だから。
「A、」
車を走らせマンションまで戻り、
気づけば家の前だ。
言葉を投げかけておいて
そのまま鍵を取り出し中に入る。
...そういうのちゃんとしたいからさ。
「そこ座って」
「うん...?」
「マネージャーさんが心配してた、
休みを取った方がいいって」
さっきの質問はこの為だったのだと
思ったのだろう。
Aの顔が納得したものに変わった。
...けれど。
「仕事を、辞めて欲しい」
不思議そうな顔で俺を見る貴方。
「それで、俺と結婚してください」
その目が今度はまんまるに見開かれた。
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くろ(プロフ) - とっても続きが気になる...!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2018年9月16日 22時) (レス) id: 11856ae683 (このIDを非表示/違反報告)
きくちももか(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 8623593aca (このIDを非表示/違反報告)
れもんてぃー - 更新楽しみにしてますね! (2018年7月31日 22時) (レス) id: cb8a59094f (このIDを非表示/違反報告)
風歌 - すごくすごくおもしろいです! 更新頑張ってください!! 応援してますぅぅо´ω`о (2018年7月20日 0時) (レス) id: d21ba90605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YUi | 作成日時:2018年7月15日 21時