Tear drops.

三十粒。 ページ30

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力を込めてガチャりと扉を開くと、
向かいの壁にもたれかかるあいつの姿。














「勝利たちの前で怒鳴られたくなかったからね」








そう言うと、
中島はソフトドリンクの缶を渡してきた。







あ、これ咲坂AがCMやってるやつだ...















「...言っておくけど、
俺は風磨のために断ったわけじゃないよ」






「...じゃあなんで断ったりなんか、」






「このドラマ、
上が裏で根回しして決まったやつだよ。
そうじゃなきゃ偶然俺か風磨かで
迷ってるなんてありえない」










確かにそれはその通りだ。



二十歳をとっくに超えているとはいえ、
ジャニーズの中ではまだまだ若手な俺たち。




何らかの働きかけがあって、
SexyZoneの誰かを主演にしたドラマを
やろうとなったことは想像がつく。





相手役もそれなりの歴がある人でないと
コケたら終わりだから、
女優に見合った年齢の俺か中島かを
主役としようと考えるのも頷ける。








「メンバーがそれぞれバランスよく
仕事しないと意味がない。
これは最年長として俺がやるべきことなんだよ」













...それでも不服な顔をしていると、
中島は表情を柔らかくした。
















「...風磨が、彼女と出会って、
いい刺激を受けられたならそれが一番いい。」





「...！」





「...でも気をつけろ。
咲坂Aは、あまりいい噂がないから」
















そう釘を刺し、去っていく後ろ姿。





ソフトドリンクは、
生ぬるくなっていた。




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