十九粒。 ページ19
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それからの私はさんざんで。
仕事にだけは支障をきたさない。
それだけが唯一私の心を繋げていたけど、
カットがかかった後の
あまりの顔色の悪さを見て
ついに監督に具体的な休みを取りなさいと
言われてしまった。
怒っている訳では無いことはわかっている。
むしろ何度か私を使ってくださっている故の
優しさから来ているのだろうと思う。
けれど今回の場合、
どれ程休んだところで
立ち直れる気がしない。
どうせまた現場に戻ってくれば風磨...
いや、ここは菊池くんにしておこう、
菊池くんと会ってしまうのだから。
とうの菊池くんはというと、
特に変わった様子は見受けられない。
私に話しかけることも
LINEを送ってくることもなくなったけれど、
それだけだ。
そもそも気持ちはそこまでなかったんだろう。
仕事ばかりで男を知らなそうな女優は
遊び相手としてちょうど
良かったのかもしれない。
なんてうだうだとベッドに転がって
考えていると、突然私のスマホが音を立てた。
「...もしもし?」
『Aちゃん?今どこ?』
軽やかで明るい声を聞いたら、
なぜか少しほっとする。
「駅前に十二時ですね」
せっかく頂いた休みを誰かに捧げようなんて
自分でも珍しいとは思いつつ、
手早く準備をした。
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くろ(プロフ) - とっても続きが気になる...!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2018年9月16日 22時) (レス) id: 11856ae683 (このIDを非表示/違反報告)
きくちももか(プロフ) - 続きが気になります!更新頑張ってください。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 8623593aca (このIDを非表示/違反報告)
れもんてぃー - 更新楽しみにしてますね! (2018年7月31日 22時) (レス) id: cb8a59094f (このIDを非表示/違反報告)
風歌 - すごくすごくおもしろいです! 更新頑張ってください!! 応援してますぅぅо´ω`о (2018年7月20日 0時) (レス) id: d21ba90605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YUi | 作成日時:2018年7月15日 21時