Tear drops.

十八粒。 ページ18

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「え...？」




「Aが撮影を止めるようなことするなんて
考えられない」












...びっくりした。


さっきのシーンの話か。







私の気持ちがバレてしまったのかと思った。













「別に...私だって完璧な人間じゃないし、
調子が良くない時もあるよ？」








そう取り繕ってみるものの、










「なんかおかしい。」












一言で否定されてしまう。











「やっぱマジで疲れてんじゃない？
一旦休んだ方がいいよ。
監督もスケジュールに余裕あるって
仰ってたし」













...この人は、なんて優しいの。



私はあなたの好意を知りながら
あなたを避けようとしてるって言うのに
そんな心配そうな顔を向けないで。


















「...私、好きな人が出来たの」




「...は？」




「その人のことを思うとつらくて、
苦しくて...仕事しながらも考えちゃって」










そうなの。風磨。











「好きなの。すごく。
おかげで演技に感情が込められないぐらいに」









相手役が別の人だったらって
何度考えたことか。










「だから心配しないで」





「.................」












風磨は目を見開いている。



そのままの状態でしばらく黙り込んだ後、
ぐっと顔を歪めた。
















「俺にもいい顔してた癖に」















これでいいはずなのになんで？





胸が苦しい。





私に目もくれず横をすり抜けた時、
小さく風を感じた。




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