Tear drops.

十六粒。 ページ16

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風磨に話しかけられたら、
当たり障りのない返事をする。




面白いことを言ったら、他の俳優さんと笑う。








でも、


家に来るかと聞かれたら
体調が優れないから、と断る。



私に向けられた熱っぽい視線は、
気付かないふりをする。












クランクインから一ヶ月間過ごしてきて
風磨の頭がいいということは
何度も感じてきた。




勉強もできるんだろうけど、
勉強どうこうというより
頭の回転が早くて鋭いのだ。






だから変に避けたらすぐに気づくだろうし、
場合によってはあの女子アナに
何か言われたんじゃないかと
勘づきそうな気もする。








あくまで、自然に。








ジャニーズである風磨に、
迷惑をかけないように。















「A、大丈夫？」



「えっ？」


「最近いつも具合悪いって言うから...。
疲れてるんじゃない？」












風磨は優しい。相変わらず。












「...なんでもないよ」









無力なあたしには、
ただ愛想笑いを浮かべて
その場を立ち去ることしか出来ない。



















...でも、神様は時に残酷だ。








私は気づいてしまった。












風磨を失ってから、
ぽっかりと空いた心の穴に。



沈みがちな自分の心に。



気づけば目で追ってしまうことに。















...そしてそれが、恋だということにも。




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