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渡瀬said
妹「お邪魔しまーす！」
意気揚々と部屋の扉を開けていく妹。
………私の家なんだけど。
正直ここまで連れてくるのには戸惑ったけど、あんなことがあった以上、あの家に帰らせることは出来ないなと思い，うちに連れてくることにした。
妹はというと、家族の束縛から解放されたことが嬉しいのか久々に笑顔を見せている。
まさかこんな形で笑顔を見れるようになるとは………
『ねぇ、本当にいいの？？』
妹「いいに決まってんじゃん！あんな家，今思い出しても吐き気がする。お姉ちゃんが家出た時からずっと思ってたんだ。私も出てってやるって。ようやく叶って嬉しいよ〜」
自分の妹ながらすごい奴だと思う。
1年前はこんな子じゃなかっだと思うんだけど………
『それよりお姉ちゃん、今日仕事ないの？？』
「え……………ぁぁぁぁぁああああ！」
妹のことですっかり忘れてたけど、今日は9時から雑誌の撮影がある。
現在時刻は8時30分____
どんだけ急いでも後20分はかかる。
絶望感を抱きながらも慌てて準備をし，家を出る。
汗だくになりながらなんとか楽屋に到着………
となる予定だったけど，偶然家の前をタクシーが通ったので，急いで捕まえて車に乗り込み、体力は消耗せずに済んだ。
楽屋の扉を開けると時刻は8時55分。
ギリギリ間に合った。
ホッとしつつも，メンバーの顔を見て昨日のことを思い出し，一気に緊張感を持つ。
私はみんなの準備を促す声を制止して，私の思いをぶつけてみた。
みんな急な話に戸惑っていたけれど，真剣に聞いてくれた。
でも私が話終わると、みんな声が出せない様子で………
そんな中沈黙を破ってくれたのはやっぱり飛貴だった。
飛貴の一言で、ようやく活気が戻った楽屋。
「ありがとう」と目線を送ると，飛貴は小さく頷いて微笑んだ。
みんなに本音でぶつかる、と言ったのはいいものの、私はあまりに隠し事が多すぎる。
全部話せるようになるのは一体いつになるのやら。
そんなことを考えていると、再び着替えをしていないことを思い出す。
慌てて楽屋を飛び出そうとした時、那須と目があった、ような気がした。
もしかしたら敏感な那須は気づいているのかもしれない。
私と飛貴の秘密を。
でもごめんね，那須。
まだ話すことはできないんだ。
だけど、いつか絶対話すから。
だから、待ってて欲しい。
いつか来るその時まで_____
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作者名：cocoa | 作成日時：2021年5月9日 13時
