ワカメとタラ

011 ページ11

．







黄「…いやぁ、」





そのまた次の日。


起きるなり日課のダンスをして、朝ごはんを食べて、

そこからまたテレビを見たり遊んだりするまではよかったんだけど






『そろそろ帰るよ〜』


とお姉ちゃん夫婦が荷物をまとめ出したくらいから、淳太くんはご機嫌ななめみたいで。



玄関に移動して靴を履かされた頃にはもうグズグズ




黄「あと、いっかいだけ、だめ？」

『明日またパパお仕事行かなあかんから、また次ね』




さっきからあと一泊だけ泊まりたいと必死に交渉しているみたいだけど、やっぱり難しそうです。





「またすぐ遊びにおいで！待ってるからね」


黄「んん…」





元気を出してもらうために両手を握ってそう言ったのに

だんだん淳太くんの目がうるうるしてきて、次第に瞳いっぱいに膜が張っていまにも溢れそうに。




私の前で泣くのはちょっと恥ずかしいらしく、

くるっと向き直るとお姉ちゃんのお腹あたりにぐいぐいと顔を押し付けて鼻をすすってる。




それをお姉ちゃんの腕の中からじっと見下ろしてるのんちゃん。今日も可愛いね。





『あーあ、のんちゃんも見てるよ？泣いてる人誰かなぁ』


黄「ないてへん、っ」


『じゃあちゃんとバイバイの挨拶できるよね？淳太もうお兄ちゃんやもんね〜』





すると、ゆっくり顔を上げてこちらを振り返った淳太くんは泣きすぎてほっぺとおめめが真っ赤。




黄「おせわに、なりまちたぁ」






ぺこりと一礼してお父さんとお母さん、私にハグをして




黄「じゅんたの、あげたの、だいじだいじ、してね？」

「もちろん！宝物にするよ、ありがとう」






『さっすが！にじ組さんはちがうなぁ、カッコイイね〜』




最後にはお姉ちゃんに褒められて笑顔を見せてくれて一安心。






にこにこの淳太くんからもう一度ハグをもらって
のんちゃんともハイタッチして



無事、天使たちは帰って行きました。







．

012→←010

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す