私と彼のアカデミア【相澤消太】 (ページ1)

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1：再会の思い出【相澤】ページ1

「ねえ、いつになったら手ぇ出してくるの？」

唐突にそんな事を言う彼女を見る。
彼女は、頬を膨らませｼﾞｯと此方を見ていた。

相澤「…は？」

仕事で帰りが遅くなり、寝ているであろうと思っていた彼女は、玄関の扉を開けたと同時に飛びついてきた。
何を言うかと思えば、手を出す？正直なところ頭がついてきておらず
ﾎﾟｶﾝとした。

「付き合って約1年あれから12ヵ月だよ？」
暫く考え、漸く話が見えてきた。ほんのりと彼女の顔が赤いのはそういう事で、俺は思わず自身の手でニヤける口元を隠した。

彼女は、俺の元生徒だった。

教員になって初めて受け持ったクラスの中の1人で
成績はいつも何にしても優秀。首席で入学し首席で卒業して行った。
そして、卒後約5年後の雪の降る街中でのヒーロー活動中に再会する。

マイク「イレイザー！応援頼む！！」

同期であるプレゼントマイクが呼ぶと同時に上へと飛び出した。

異形の敵(ｳﾞｨﾗﾝ)が街で大暴れしたのだ。
休日の日に現場から近かった俺らは当然駆り出された。

相澤「ったく、俺の“個性”は異形には意味ないんだよ」
生憎すんなり終わるはずがそうもいかずかなりの時間が掛かっていた。

「ｯｯ！！！先生！」
そんな中凛とした声が聞こえ視界にはクリーム色の長い髪と紅い瞳が入り込んできた。

相澤「お前…爆豪か？！」

5年ぶりの再会は空中でだった。
ーーーーBlast。否、爆豪Aの姿がどんどん近づいて来る。

「ちょっと、背後！」
彼女はBomと自身の手から音を立て、俺の捕縛布を後ろへ引っ張り、真横を通り過ぎた。

流れに沿って彼女を目で追うと敵(ｳﾞｨﾗﾝ)の頭を鷲掴みにし拘束している姿が映り込んで来た。

「油断大敵ですよ？」
此方を向き笑いながら拘束していない方の手の平でﾊﾟﾁﾊﾟﾁと火花をあげている姿は、在学中によく見た物だった。

相澤「すまねぇな」

それから警察に敵(ｳﾞｨﾗﾝ)を引き渡し報告を済ます。少し離れた所から声が聞こえてくる。

マイク「お？！おいおい！見ないうちに大人になったなぁ！リスナー！」

「マイク先生、お疲れさまです」
微笑みながら話す2人に俺は近寄った。

「あ、報告有難うございます」
俺の気配に気づき頭を下げる彼女。

相澤「お疲れさんBlast。さっきはありがとね」

卒業から5年経ちすっかりプロの顔つきで大人になった彼女は俺の気持ちを再び呼び戻すのに
そう時間は掛からなかった。