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Shori side


[風磨も言ってたよ。あの絵は何だか嫌な感じがするってね]

黒猫にそう言われ、俺はなんとなく心に引っかかっていた疑問を思い出した。

「ねぇ。ひとつ聞いてもいい?」

黒猫は少し面倒くさそうに振り返って、短く鳴き声を上げた。

「ここに来る前、俺においでよって言ったの、君じゃないよね?」
[ぼくじゃないよ。こんな危険なところにわざわざ君を呼び寄せたりなんてしないさ。君たちが勝手にここへ来たんだ]
「おっしゃる通りです…」

先導して廊下を歩く黒猫はゆらゆらと尻尾を揺らしながら、あの絵画の部屋へ歩いていく。
そして隠し扉の前でぴたりと足を止めて言った。

[君のことをここへ呼び寄せたのはね、偽者の君だよ]
「偽者の俺?」
[そう。偽者の君は、君自身と替わってしまうかもしれないんだ]

戸惑う俺をよそに、黒猫は呑気に顔を洗っている。

「もし偽者の俺と入れ替わったらどうなるの?」
[どうもしないさ。君はこの世界に閉じ込められて、偽者の君が外の世界に出て行ってしまうだけだよ]
「一大事だよ、そんな事が起きたら」

黒猫はツンと澄ました顔で、早く扉を開けろと言わんばかりにみゃあと鳴いた。俺はため息をついて、仕方なく扉に手をかけた。

「………何、これ」

真ん中にあった、赤い薔薇の肖像画は無かった。

かわりにそこには、赤い薔薇と荊に囲まれて眠る、自分の姿があった。

47.奪われる色→←45



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みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時

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