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「え……なに…ドッキリ?」
沈黙を破った風磨くんが、階段を降りて辺りを見回す。
「おーい…」
その声はシンと静まり返った館に虚しくこだまするだけだった。
ダメだ、と階段を登って戻ってきた風磨くんがため息をついた。
「どういうこと?何が起きてるの?」
すでに涙目のマリウスは、健人くんの肩にしがみついている。
「いやわかんねぇよ…何だよこれ…」
健人くんも戸惑いを隠せない様子だった。
「ちょっと探索してみるか?どこかに隠れてるのかもしれないし」
「えーやめとこうよ!ここから動くのはあんまり良くない気がするし…」
手すりに手をついて階下を覗く風磨くんを、聡は焦ったように止めた。
「でも動かなかったら一生このままかもしれないぞ」
「やっぱりこの館の中を調べなきゃなんじゃない?」
聡は不安な顔で「広いよ、ここのお屋敷。1人で探したらどこいったか分からなくなりそう」とうなだれた。
「スマホ持ってればいいじゃん。5人で固まって動くより探す範囲も手間も少しは省ける。集合場所だけはここって決めてさ」
「それいいな。そうしようぜ」
俺らは携帯電話を取りに、控え室まで戻った。当然の事ながら、控え室にも誰もいない。カバンから取り出したスマートフォンを手に、俺は「えっ」と声を出してしまった。
「圏外じゃねぇかよ」
風磨くんもスマートフォンを手に固まっている。
「さっきまで普通に繋がってたよね…」
俺は携帯電話をしまって窓に近寄った。カーテンをよけて外を覗くが、特にさっきと変わった様子はない。外は晴れていて気持ちがいい天気だ。
鍵を開けて、窓を開けようとしたが、まるで向こう側から誰かに押さえつけられているようで、窓はびくともしなかった。
「どうした?」
「窓が開かないんだ。鍵は開いてるのに」
健人くんがこっちへ来て、一緒に窓を押してくれた。上に押し上げてみたり、左右に少し力を加えて開けてみようと試みても、結果は同じだった。どうやら窓の建付けの問題でも無さそうだ。
「とにかく、この館の中を探そうか」
少し落ち着きを取り戻した健人くんが言った。
「どうする?まとまって行くか?」
「何かあっても不安だしな。まとまって動こう」
風磨くんはこの状況に全く動じていない。いや、動じていないわけではないんだろうけど、何だかこの状況を楽しんでいるようにさえ見えるほどの余裕がある。
楽屋を出て、例の大きな絵画の前を通った時だった。
「嘘だろ…」
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みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時