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Fuma side

階段を駆け上がって、俺はあの部屋のドアの前で呼吸を整える。

行くしかない。意を決して、ドアを開けた。

部屋をぐるりと囲うように置かれた机の上には、赤い目をした不気味な人型のぬいぐるみが、ずらりと並んでいる。そして目の前の壁には、このぬいぐるみの大きな絵。まるであの黒いバイキンのキャラのようなギザギザした歯が見えている。

これを見てかわいいと言ったマリウスの気が知れないな。
部屋の中へ足を踏み入れた瞬間、バタンと音を立てて勢いよくドアが閉まった。

しまった。ドアに飛びついた時には時すでに遅し。鍵はついていないのに、ドアはびくともしなかった。

「なんで開かねえんだよ!」

ドアを拳で叩いて叫ぶが、その声は誰にも聞かれることなく部屋にこだまして消えた。

『アソボウヨ』

無機質な声が耳に響いた。振り向けば人型のぬいぐるみたちの目が赤く光って、口元には不敵な笑みを浮かべている。

『イマカラ、ゲームシヨウ』
「お前の遊びに付き合ってる暇なんてねぇんだよこっちは」

いらいらして思わず髪を掻き回すと、ケラケラと嘲笑う声があちこちから聞こえてきた。

落ち着け。こっちまで気が狂ったら、きっと誰もここから出られなくなる。
このぬいぐるみの中に、部屋を出るための方法はあるはずだ。

「何をすれば俺はお前に勝てるんだ?」

『ボクノタカラモノ、ミツケテヨ。ミツケラレタラ、ダシテアゲル』

その言葉に、俺は手当たり次第ぬいぐるみを掴んで、何か変わったところがないかを調べる。

『ヒトノハラノウチナンテ、ワカラナイヨ』

近くに転がっていた折りたたみナイフを掴んで、ぬいぐるみの腹に突き刺した。中から出てくるのは黒い綿。その次も、そのまた次のぬいぐるみの腹の中からも、墨に浸して乾かしたかのような、真っ黒な綿が出てくる。

「お前らの腹の内は、全員真っ黒ってか」
そう呟いて、次々にぬいぐるみの中を裂いては中を探す。するとある一体の綿の中に、何か固いものを見つけた。

『アタリ。アタリ。オメデトウ』

額縁の中から身体の半分近く這い出た、赤い目の奴は、もう俺の目前まで迫ってきて手を伸ばしている。慌てて飛び退いて、俺はドアに向かって走り出す。



頼む、間に合え…!

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みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時

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