薔薇迷宮─Rose Labyrinth─

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Shori side

「健人くん！」

扉から転がるように出てきた健人くんは、床に倒れて咳込む。

「あー…… 目が痛い」
「大丈夫？」
「平気」

健人くんが無理に作った笑顔が、胸に刺さった。手に持ってたライターを返そうとすると、手で押し戻される。

「いいや。勝利持っててよ」
「なんで？」
「何かあった時に、使えるかなって」

一緒に行動してるんだから、健人くんが持っててもいい気がするけど…

「わかった、持っておくね」

健人くんの横に転がった、20センチ程の大きなねじのようなものに気づく。

「これ何？」
「たぶん柱時計のねじだと思うんだ」
「……こんな大きいっけ？」
「いや、普通は5センチくらい。だからもしかしたら違うのかもしれない」

キィ、と不気味な音がして振り向く。
閉まっていたはずの窓が、外へ出ろと言わんばかりに開いていた。

「外、出てみる…？」
「そうだな。何かしらヒントがあるかもしれない」

俺らは恐る恐る窓へと近づいて、中庭へ出た。

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