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Shori side
しばらく部屋の前で黙り込んで座っていた健人くんが顔を上げた。
「入ろう。」
俺は脱いだ上着を傍らに置いた。
「あぁそうだ。勝利」
健人くんが、何かを差し出す。受け取るとそれはどうやらさっき聡の腕に絡みついた蔦を脅すのに使ったライターのようだ。
「ちょっと持ってて。引火したら困るからさ」
「え?待って。俺が入るよ」
「いいから。お前はここにいろ」
「何言ってんの。だって健人くん、その怪我だってあるし、薔薇だって…」
ポケットにささっている青い薔薇に視線を落とす。それは俺の赤い薔薇よりも一回りほど小さい。
「だからだよ。今ここでダメージを揃えるよりも、どっちか一方が残ってた方が、後々楽になる」
食い下がろうとした俺の肩に、健人くんが手を置いて言った。
「とにかくまってて。俺は大丈夫だから。こんなところで死んでたまるか」
俺の手にライターを握らせると、健人くんは腕で鼻と口を覆って部屋の中へ飛び込んでいってしまった。
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みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時