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Fuma side
「とりあえず…何か使えそうなものを集めようか」
「はーい…」
部屋にあるクローゼットや机の下、カーテンの裏まで隅々を探す。カーテンをばさばさ揺らすと、埃とともに銀色の小さな鍵が降ってきた。
「風磨くん。これどう思う?」
マリウスが暖炉にあった頑丈そうな火かき棒を軽く振った。
「それは何かしらに使えるかもな」
「そっち何かあった?」
「鍵は見つかった。どこに使うかはわからないけど…ちょっとドアの鍵にしては小さいような気がする」
つまみ上げた鍵を揺らし、窓から離れる。その時だった。
「危ない!!」
突然響いた松島の声に振り返ろうとした瞬間、思い切り突き飛ばされる。
その力の強さに、俺は思わず床に転がった。
すぐあとに聞こえた、何かが風を切る音と呻き声。
松島は顔を歪めて床に膝をついた。右の太腿を押さえている指の隙間から血が溢れ出している。
「聡ちゃん!」
マリウスが駆け寄って、倒れそうになった松島を支える。
松島の後ろの壁に刺さった矢。
反対側の壁の絵を睨みつけた。長弓を持った兵士が、意地悪そうに俺を見下す。
思わず俺は叫び声をあげて、壁の絵に飛びかかっていた。
拾い上げた火かき棒で何度も何度も絵を殴るうちに、粉々に割れたガラスが床に降り注ぎ、絵はぐしゃぐしゃになる。
何してんだ、俺。
絵から離れて松島の前に膝をつくと、彼は俺を見て苦しそうに笑った。
「ごめん……掠ってるだけ…だと思うけど…」
「いい。喋んな」
松島の手をそっと剥がして、太腿の傷を見る。本人の言う通り、矢は掠っただけらしいが、かなり出血はしている。
中島たちを呼び戻すか。
いや、でも鉄格子を取り除かないことには向こうへは行けないし、松島をこの状態で動かすわけにはいかない。
それにマリウスだけで鉄格子を取り除く方法を探しに行かせるのも、2人をここに残していくのも危険だ。
「とりあえずここにいよう。2人が何とかしてくれるのを待つしかない」
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みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時