検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:33,866 hit

11 ページ11

ドアの先は何の変哲もないただの部屋。電気のスイッチを押すと、天井の大きなシャンデリアに明かりが灯る。

向かい側のドアの近くには観葉植物がいくつかあって、俺らの入ってきたドアのすぐ横には、オルガンを弾いている女の人の絵が飾ってあった。

聡が入ってきたドアのドアノブを捻るが、ガチャガチャと音がするだけで、ドアは開かなかった。

「えっ…鍵が閉まってる」
「前の道には戻れないってことなのかな…」

なにかヒントはないかと、仕方なく部屋の中を少し見て回る。
ふと、隣でしゃがんでテーブルの下を覗き込んでいた風磨くんが動きを止めた。

「どうしたの?」

眉間にしわを寄せ、薔薇をまじまじと眺めている風磨くんは、おもむろに花びらを一枚、ぷちっとちぎった。その瞬間、風磨くんは短いうめき声をあげ、痛みを堪えるように顔を歪めて紫色の薔薇を床に落とした。

「どうしたの?トゲ刺さった?」

紫色の薔薇を拾い上げながら尋ねると、風磨くんは首を横に振る。そして薔薇を受け取って立ち上がりながら言った。

「この薔薇、俺らの体に連動してるみたいなんだよ。花びらをちぎると体に痛みが出る」
「え?ほんとに?」

マリウスが薔薇の花びらをちぎろうとするのを、慌てて風磨くんが止める。

「やめろちぎるな。せめて指でちょっと傷つけるくらいにしとけ」

マリウスは何もせずに薔薇をポケットにしまった。対して聡は、じっと緑色の薔薇を見つめたあと、その花びらに軽く爪を立てる。

「っ……」

顔を歪め、聡はびくっと手を引っ込めた。

「な?」

風磨くんと頷き合う聡。健人くんがポケットにさしていた薔薇を手に取り、眺めながらぽつりと言い放つ。

「じゃあ、この花びらが全部散ったら……」

12→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:SexyZone , ホラー ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みみ(プロフ) - 遅くなりましたが昔コメントしたらんです。再開嬉しいです。やはりお話は大好きなのでがんばって下さい。 (2020年2月11日 17時) (レス) id: 84d134d2ea (このIDを非表示/違反報告)
Emma(プロフ) - さくらさん» 毎日チェックしてくださり、ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年12月1日 21時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 毎日更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2019年11月30日 19時) (レス) id: 206be9d177 (このIDを非表示/違反報告)
つばき(プロフ) - yukineさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります…! (2019年11月26日 22時) (レス) id: c1561dc037 (このIDを非表示/違反報告)
yukine(プロフ) - めっちゃ面白かったです!次の更新も楽しみにしてます! (2019年11月26日 19時) (レス) id: b95332937f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Emma | 作成日時:2016年2月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。