short story

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黒side

走っていった京本を追い掛けた樹が気になって。


向けられるはずがない、なんて押し殺してた気持ちが溢れ出た。


いてもたってもいれなくなった俺はいなくなった二人を探した。


楽屋から離れた、中庭のような所に二人はいて。


なんて声掛ければいいんだよ、って思って二人を見ていると樹が京本を抱き締めた。


あぁ…そっか。叶うはずなんてなかったんだ。


俺に向けられる熱っぽい視線。


もしかしたら京本も俺の事…なんて勘違いして。


不仲と言われる中、この気持ちを隠すにはひたすらその視線を無視する事しか出来なかった。


そりゃそうだよな…こんな俺より、いつも優しくて気に掛けてくれる樹の方がいいに決まってる。


早くこの場から離れないと、って思う心とは裏腹に足が鉛にでもなったようで。


１つに重なる影を見てるしか出来なかった。


樹「…！北斗…」


そんな俺に気付いたのは樹で。まずい！とは思いながら、やっぱりこいつはよく周りが見えてんなって関心してた。


樹の後ろにいる京本は今にも泣きそうで。


なんで俺を見てそんな悲しそうな顔するんだよ、って。


樹の事好きなんじゃねぇのかよ…って。いつもなら交り合う事がないようにしてたはずの視線も外せなかった。


樹「きょも、勇気だして。ちゃんと二人で話し合うべきだよ」


そう言った樹は京本の肩を叩き俺の横を通り過ぎる。


「素直になれよ」


そんな言葉を残して。

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