4人で、1つ。2

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小山side


手越が何にも言わないなー…っていうのは、俺の気にしすぎではない、はず。




まっすーに揺さぶられている手越は人形のようで反応もない。


増「ねぇ手越…？て、ご、し！」


まっすーが手越のほっぺを両手で挟み、顔を上げさせる。でも、この角度からじゃ手越の顔は見えない。見えているのは多分、まっすーだけ。


増「…え、手越？」


手「…っや、」


まっすーが驚いたように手を離し、手越も物凄い勢いで俯く。


小「…ん、え？どうしたの？」


何があったのか把握しきれずに聞く。尋常じゃないくらいの勢いだったもん、2人とも。


増「…いや、なんでもない。…な？手越」


手「……ん」


どこか気まずそうにそう言う。あの一瞬に何があったの。


俺はシゲと顔を見合わせ、首をかしげた。





増田side


無理矢理顔を上げさせた手越の目からは、涙がぽろぽろこぼれ落ちた。


何があったかは、わからない。わからないけど、小山とシゲにはまだ言っちゃ駄目なんだ、とは思った。これも、なんでかはわからないけれど。


増「手越、どうした？」


打ち合わせが再開されてから、こそっと耳打ちする。手越は横目で俺を見ながらさっきごめんね…と謝った。


増「いやごめんねじゃなくて。どうした？」


手「……」


手越が俺を見つめ、また俯く。絶対に、何かある。


増「黙ってるだけじゃわかんない。教えて？」


手「……まっすー…」


手越の目から、また涙がこぼれた。こいつが泣くなんて。しかも、俺の前で。


手「…あたま、いたい…」


また涙、涙、涙。一気に溢れてこぼれて流れて落ちる。


手「……いたい…っ…」


あぁ、そっか。


…だから。


何も知らなかったしわからなかったくせに、妙に素早く理解した。楽屋に来た時からのおかしな行動も、全部。


増「…泣くなよ」


そっとハンカチを差し出す。見えないように、ばれないように。


…気の利いた言葉は、出てこないけれど。


増「手越、泣くな」


気の利いた行動は、出来たかな。


俺なりに。俺、中々手越に優しくしないから。直接的な行動しか出来ないんだけど。


…ハンカチ持ってただけ、上等でしょ？


手「……っ、ごめん、」


増「てごし」


すぐ忘れる。手越は、不器用だ。


何回言わせるの。この台詞今までも沢山言ったよ。


言われる方も聞き飽きるかもしれないけど、言う方だって結構照れるんだよ？


増「そういうときは、ありがとう、でしょ？」

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