4人で、1つ。2

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手越side


こんなにしんどそうなまっすーを置いて帰るわけがない。
帰れるわけがない。



増「……、なんで」

手「なんでって…なんで。辛そうにしてるのに放って帰れないよ」


増「……つらくないし、」

手「でも寂しかったんでしょ？俺たちが帰っちゃうと思ったから布団から出てきたんだよね？」

増「…っ、べつにっ…」


まっすーが顔をそらす。
多分、図星。


それでも「別に」と答えたのは、まっすーの意地だろう。



手「…気づけなくて、ごめんね」


まっすーがこっちを振り向く。シゲも。


増「それは、」


おれがいわなかったから。

ぼそぼそと呟いた声は消えかかって弱々しかった。小さい子がふてくされているときのように。


手「それでも、ごめん。…だけどね、…聞いても、いい？」

増「…うん、」

手「いつから？いつから、具合悪かったの？」


深呼吸が聞こえる。くぐもって、苦しそうで、辛そうな。


増「…1週間前……」


まっすーは、また布団に潜り込んでしまった。


手「……1週間、」


1週間。いっしゅうかん。7日。なのか。

…そんなに、


手「我慢してたの…？ずっと？」


布団が擦れるような音がする。
布団が、縦に動く。



静かに、深く長く息を吐いた。


手「どうして教えてくれなかったの…？」

増「、っ…」


布団が震える。
シゲが息をのむ音が聞こえる。普段なら、やりすぎだぞ、と怒られるはずだ。

…けど。


増「……った、から……っ」


はぁはぁと荒い息遣いが聞こえる。


……やばい…？

…だとしたら、俺のせい、？


増「みんな、いそがしそう、だったから…っ」


途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

みんな、忙しそう、だったから…？


手「忙しそうって、」

増「めいわくかけたら、じゃましたら、だめだから。いつもすぐなおるし、くすりものんだし」


だいじょうぶだったんだもん。

その言葉も、くぐもっていて、消えかかっていて、ひどく、弱々しかった。

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